一般社団法人日本老年歯科医学会 第35回学術大会

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一般演題(口演発表)

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一般口演2
オーラルフレイル・口腔機能低下症

2024年6月29日(土) 10:20 〜 11:40 第4会場 (107+108会議室)

座長:奥野 健太郎(大阪歯科大学高齢者歯科学講座)、谷口 裕重(朝日大学歯学部摂食嚥下リハビリテーション学分野)

[O2-6] 島根県後期高齢者歯科口腔健診(LEDO健診)は後期高齢者の健康寿命を予測できるか!

○富永 一道1,2、矢野 彰三2、齋藤 寿章1、前田 憲邦1、清水 潤1、井上 幸夫1 (1. 島根県歯科医師会、2. 島根大学地域包括ケア教育研究センター)

【目的】
島根県歯科医師会(以下県歯)と島根県後期高齢者医療広域連合(以下広域連合)はH27年よりLEDO健診を実施している。今回、高齢者の健康寿命に影響を与えている口腔関連要因を探索する目的で後方視的生存分析用データセットの構築と要因分析を行ったので概要を報告する。
【方法】
県歯と島根大学の共同研究プロジェクト“LEDO Study”を立ち上げ、広域連合よりH28年より6年間のLEDOデータ、被保険者管理台帳から医療と介護保険情報の提供を受けた。健康寿命阻害イベントを自立喪失(要介護2以上認定または認定前の死亡の発生)とした。観察開始をLEDO健診日としイベント発生までの時間(月単位)を調べ、観察終了をR4年3月31日とした。LEDO健診受診時要介護2以上の者、転出等を除外し、重複受診者を観察期間が長くなるように調整し分析用データセットとした。Kaplan-Meier法、Cox比例多変量ハザードモデル(共変量;性、年齢、BMI、高血圧、脳血管障害、アルツハイマー、パーキンソン、骨折、骨粗鬆症、関節症、うつ病、肺炎、誤嚥性肺炎)を用いてイベント発生と口腔関連要因との関係を調べた。
【結果と考察】
広域連合より提供されたLEDOデータは延べ46248名だった。各年度の観察終了までのイベント発生はH28年(1215/6463; 18.8%) H29年(1369/8370; 16.4%) H30年(880/7807; 11.3%) R1年(571/7865; 7.3%) R2年(245/7262; 3.4%) R3年(89/6771; 1.3%)だった。構築された生存分析用データセットでは、イベント発生率(2808/22747名; 12.3%)、平均追跡期間41.0±20.8月(max70)、男性割合42.7%、80歳以上33.8%だった。口腔関連項目Cox回帰分析の結果、咀嚼能力(現在歯数、客観的評価、主観的評価)、嚥下機能(RSST変法)、舌可動域、パタカラ発音明瞭度、歯周疾患、義歯の適合状態(上下顎)、口腔衛生状態、未処置う蝕、口腔粘膜疾患、口腔乾燥感などが低下または状態が悪い者ほど有意に自立喪失の確率が高くなりKaplan-Meier法でも視覚的に確かめられた。LEDO健診は後期高齢者の健康寿命を予測することが示された。
(COI開示:なし)(島根大学倫理委員会承認番号20220723-1)