一般社団法人日本老年歯科医学会 第35回学術大会

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一般演題(口演発表)

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一般口演2
オーラルフレイル・口腔機能低下症

2024年6月29日(土) 10:20 〜 11:40 第4会場 (107+108会議室)

座長:奥野 健太郎(大阪歯科大学高齢者歯科学講座)、谷口 裕重(朝日大学歯学部摂食嚥下リハビリテーション学分野)

[O2-8] 睡眠中の無呼吸・低呼吸イベントによる血圧サージに影響する因子について

○奥野 健太郎1,2、真砂 彩子1、王 麗欽1、和田 圭史1、髙橋 一也1 (1. 大阪歯科大学 高齢者歯科学講座、2. 大阪歯科大学附属病院 睡眠歯科センター)

【目的】
 高齢者では脳卒中や心筋梗塞が生命予後やQoLを著しく低下させるため、これら心血管イベントをいかに抑制するかが重要である。閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)は、加齢により有病率や重症度が高くなることが報告されており、高齢者にとっても一般的な病態である。夜間の無呼吸が引き起こす急峻で甚大な血圧サージは、心血管イベントリスクの新たな指標として注目を集めている。今回、OSA患者の睡眠中の無呼吸・低呼吸(呼吸イベント)後の血圧サージに影響する因子について検討したので報告する。
【方法】
 高血圧の既往があるOSA患者10名に対して、睡眠評価装置を用いて、睡眠中の呼吸イベントと心拍毎に血圧を評価できるPTT(Pulse Transit Time)血圧測定の同時計測を行った。全呼吸イベント1068回に対して、収縮期血圧(SBP)の上昇量、呼吸イベントの種類(無呼吸or低呼吸)、呼吸イベント持続時間、酸素飽和度の低下量、脈拍数の上昇量、呼吸の乱れ、心電図RR間隔から心拍変動周波数解析を行いLF/HFを算出した。
【結果と考察】
 全呼吸イベント(n=1068)について、12mmHg以上のSBP上昇を従属変数とした2項ロジスティック分析の結果、呼吸イベントの種類が有意な独立変数(p<0.01)であったため、12mmHg以上SBPが上昇した無呼吸イベント(n=396)、低呼吸イベント(n=248)に分けて解析した。SBPの上昇量は、無呼吸イベント (22.5±9.1mmHg)と低呼吸イベント (18.8±8.1mmHg)で有意差(p<0.01)を認めた。SBPの上昇量を従属変数とした重回帰分析の結果、無呼吸イベントでは無呼吸持続時間、脈拍上昇量、脈拍上昇後の値が、低呼吸イベントでは呼吸の乱れの有無、脈拍上昇後の値、LF/HFが有意な独立変数(p<0.01)であった。無呼吸時の胸腔内陰圧により増大した静脈還流量が陰圧解放時に左心室から拍出され血圧が上昇することから、無呼吸時間や脈拍変化が影響すると考えられた。低呼吸時では、呼吸の乱れやLF/HFが影響していたことから、覚醒反応に伴う交感神経活動により血圧が上昇したと考えられた。SBPの上昇量は、呼吸イベントの種類により影響する因子が異なる可能性が示唆された。
(COI 開示:なし)
(大阪歯科大学医の倫理 111049号)