一般社団法人日本老年歯科医学会 第35回学術大会

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介護・介護予防(質疑応答)

2024年6月29日(土) 10:40 〜 11:40 ポスター会場 (大ホールC)

[P-03] 自立高齢者のオーラルフレイルと身体的・心理的・社会的要因とQOLとの関連
―前期と後期高齢者との比較―

○隅田 好美1、佐藤 俊彦2、頭山 高子3、福島 正義4 (1. 大阪公立大学大学院現代システム科学研究科、2. 大和大学保健医療学部、3. 京都光華女子大学短期大学部歯科衛生学科、4. 昭和村国民健康保険診療所)

【目的】
 本研究は前期高齢者と後期高齢者別にオーラルフレイルと身体的・心理的・社会的要因およびQOLとの関連を明らかにすることである。
【方法】
 介護保険の要介護度1~5を除く65歳以上の地域在住自立高齢者を対象に、質問紙調査と専門職による身体および口腔機能評価を行った。調査は2021年11月~12月にA市(人口約83万人、高齢化率28.0%)79名と、2022年9月にB村(人口約1200人、高齢化率55.4%)39名に行った。2つの地域で簡易オーラルフレイル(聖隷式嚥下スコア)に有意差がなかったことから、2つのデータを統合し、前期と後期高齢者別に分析した。最初に簡易オーラルフレイルを低下なし群と低下群(オーラルフレイル・嚥下機能低下)に分け、身体的・心理的・社会的要因およびQOLについてカイ2乗検定またはFisher検定を行った。次に、有意差があった項目について簡易オーラルフレイルを従属変数とした二項ロジスティック回帰分析を行った。
大阪府立大学人間社会システム科学研究科倫理審査委員会 承認番号:2019(1)-14)
【結果と考察】
 簡易オーラルフレイルでは前期と後期高齢者の約半数にオーラルフレイルまたは嚥下機能低下が認められた。前期高齢者のオーラルフレイルは身体的要因では関連する項目はなかった。社会的要因は前・後期高齢者全体では「昨年から外出頻度の減少」に有意差があったが、前期と後期高齢者別の分析では有意差がある項目はなかった。二項ロジスティック回帰分析では、前期高齢者のオーラルフレイル低下群で心理的要因の「生きがいが思いつかない」が有意に高かった(オッズ比26.739)。後期高齢者では基本チェックリストの認知機能低下の割合が有意に高く(オッズ比3.882)、健康関連QOL(SF-8)の身体機能の尺度が平均未満の割合が高かった(オッズ比3.550)。高齢者全体では身体的要因の認知機能低下(オッズ比2.695)、現在の疾患(オッズ比4.252)および握力(オッズ比4.488)が、心理的要因では生きがい(オッズ比3.694)に有意差があった。以上の結果から前期と後期自立高齢者のオーラルフレイルが、身体機能や認知機能だけではなく、生きがいやQOLに関連することが示唆された。
本研究は2019年度科学研究費補助金基盤B(19H01588)の助成を受けた。
COI開示:なし