一般社団法人日本老年歯科医学会 第35回学術大会

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介護・介護予防(質疑応答)

2024年6月29日(土) 10:40 〜 11:40 ポスター会場 (大ホールC)

[P-08] 介護予防教室「カムスワ元気やお教室」での取り組み

○蛭牟田 誠1,2、近石 壮登1、森田 達1、荒屋 千明1、谷口 裕重2 (1. 医療法人社団登豊会 近石病院 歯科・口腔外科、2. 朝日大学歯学部 摂食嚥下リハビリテーション学分野)

【目的】
 カムカムスワローは,「食べる」を通じて地域と医療をつなぐコミュニティスペースであり,栄養ケア・ステーションも併設している。嚥下調整食の提供が可能なカフェ,食・栄養に関する相談,介護予防教室開催などを行っている地域密着型の拠点である。今回,当施設にて介護予防教室「カムスワ元気やお教室」を実施し,実施前後の変化について検討したため報告する。
【方法】
 対象は男性3名,女性5名の計8名(78.2±8.8歳)の地域に在住する高齢者。1ヶ月に2回の頻度で計14回,7ヶ月実施した。教室では運動器の機能向上プログラム,栄養改善プログラム,口腔機能向上プログラムを複合的に実施した。初回・最終評価とそのフィードバック,講話聴講,集団運動の実施,自主練習の指導を行った。評価項目は,Time Up & Go test,握力,ピンチ力,運動機能分析装置ザリッツ(パワー、スピード、バランス),口腔機能低下症の検査,MNAⓇ-SF,BMIであった。6回目の教室時には自主練習頻度についてアンケート調査を実施した。初回評価と最終評価はWilcoxson符号順位検定を用いて比較検討した。
【結果と考察】
 運動器の実施前後の変化に関しては,Time Up & Go test(p<0.05)の短縮,運動機能分析装置ザリッツのパワー(p<0.05),スピード(p<0.05)の上昇があり有意差を認めた。口腔機能は,口腔衛生状態(p<0.05),該当項目数(p<0.05)で改善を認め,7項目中3項目以上低下で「口腔機能低下症」と診断される方は,初回7名から最終2名に減少した。一方,栄養状態に関しては有意差を認めず,オーラルディアドコキネシス「パ」(p<0.05)においては低下を認めた。運動器の自主練習頻度は「毎日」「2日に1回」で75%を占め全員が自主練習を行えており,口腔機能は「毎日」「2日に1回」で50%を占めた。運動器の機能向上,栄養改善,口腔機能向上プログラムを複合的に実施することで運動器の機能,口腔機能において改善項目が複数みられた。特に口腔機能低下症の方が大幅に減少したことは,大変意義のあることであった。栄養状態に関しては,自主練習により実施前と比べ運動量が増加し,カロリー消費量が向上した結果,有意差を認めなかった可能性が考えられる。
(COI開示:なし)
(医療法人登豊会近石病院倫理審査委員会承認番号:4007)