The 35th Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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症例・施設-2(質疑応答)

Sun. Jun 30, 2024 10:40 AM - 11:40 AM ポスター会場 (大ホールC)

[P-104] 医科歯科連携によって対応した食道期摂食嚥下障害症例

○飯田 貴俊1,2、末永 智美2、植木 沢美2、金本 路2、吉野 夕香3、煙山 修平4、尾立 光4、會田 英紀4 (1. 北海道医療大学歯学部生体機能・病態学系 摂食機能療法学分野、2. 北海道医療大学在宅歯科診療所、3. 北海道医療大学病院 医療相談・地域連携室、4. 北海道医療大学歯学部生体機能・病態学系 高齢者・有病者歯科学分野)

【諸言・目的】
 当在宅歯科診療所では,2023年5月より歯科専門職による訪問摂食嚥下リハビリテーション診療を開始した。摂食嚥下の5期分類における食道期障害は,準備期・口腔期・咽頭期よりも発現頻度が少なく,歯科訪問診療では評価・対応が困難な症例が多く存在する。今回医科歯科連携によって対応を行った食道期摂食嚥下障害症例について報告する。
【症例および経過】
 82歳,男性。2009年発症の小脳出血後遺症として,構音障害,左片麻痺あり。当診療所の訪問歯科にて,2020年からう蝕治療や歯周病治療を行っていた。食後むせこみの訴えがあり,2023年9月訪問での摂食嚥下リハビリテーション診療を開始した。移動は車いすでADLは部分介助,食事は常食一口大,水分はとろみなしで摂取していた。1回目の診察時,頸部聴診法にて飲水後に湿性音を認めたため嚥下内視鏡検査(VE)を実施した。トースト一口大およびとろみなし着色水コップ飲みで,嚥下直後に明らかな誤嚥は認められなかった。しかし,経口摂取開始約5分後に食道入口部から着色水の逆流が認められ,逆流物嚥下時に喉頭侵入が認められた。対応として,まず食事時に姿勢が麻痺側に倒れ込む様子が見られたため,クッションを用いて姿勢調整するよう指導した。また,食後30分以上は仰臥位にならず座位でいるよう指導した。胃食道逆流症の疑いにつき,同法人の大学病院消化器内科外来に紹介した。消化器内科での診察後,エソメプラゾールマグネシウム水和物およびモサプリドクエン酸塩水和物が処方された。
 初診より約1か月後,2回目のVEを行ったところ,逆流所見は初回時に比べ減少しており,患者の主観上の改善および見守っている家族からも「むせ込みが減った」という感想が得られた。
 なお,発表について患者本人から文書による同意を得ている。
【考察】
 食道期障害は準備期・口腔期・咽頭期に比べて,歯科単独で対応できる範囲が狭い領域であるため,早期に医科歯科連携を行いチームアプローチとして対応すべきであると考えられる。
(COI開示:なし)
(倫理審査対象外)