The 35th Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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症例・施設-3(質疑応答)

Sun. Jun 30, 2024 10:40 AM - 11:40 AM ポスター会場 (大ホールC)

[P-107] 歯科が関わるACPについて考える

○木森 久人1 (1. 医療法人社団八洲会 あしがら西湘歯科診療所)

【緒言·目的】
 歯科医師がACPの現場に関わるケースを体験したのでその経過および課題について報告する。ACP(Advanced Care Planning)は人生会議とも訳され,もしものときのために、あなたが望む医療やケアについて、前もって考え、繰り返し話し合い、共有する取組みのことを言う。 また人生の最終段階における医療·ケアの在り方においては 1. 医師等の医療従事者から適切な情報の提供と説明がなされ、それに基づいて医療·ケアを受ける本人が多専門職種の医療・介護従事者から構成される医療・ ケアチームと十分な話し合いを行い、本人による意思決定を基本としたうえで、 人生の最終段階における医療·ケアを進めることが最も重要な原則である。 2 .人生の最終段階における医療·ケアについて、医療·ケアチームによっ て、医学的妥当性と適切性を基に慎重に判断すべきである。 3 .医療·ケアチームにより、本人·家族等の精神的·社会的な援助も含めた総合的な医療·ケアを行うことが必要である。とされている。今回,摂食嚥下障害を抱えてターミナルを迎えた症例のACPについて考えさせられた症例と出会ったため報告する。
【症例および経過】
 初診85歳。虫歯があるとのことで自宅へ在宅歯科医療開始。その後1年ほど中断期間があり,歯が揺れるとのことで再度在宅歯科医療を開始した。その後3年に渡りメインテナンス継続。経過良好だったが,施設入所を機に食事量低下を主訴に摂食嚥下障害に対して対処開始する。食形態調整,食事姿勢,環境調整にて対応し良好であった。その後2年ほどメインテナンスを継続したが,徐々に身体機能,認知機能ともに低下しはじめ,最終的には経口摂取困難となり胃瘻造設となった。その後も体調の良い時は口から好物のあんぱんなど食べることもあり,お楽しみでの経口摂取への指導を継続した。最終的に自宅にてお看取りとなった。
【考察】
 今回の症例はご家族,施設との意思疎通も十分できたため現場の人間が満足できる結果へと辿り着くことができた。ご本人の意思がはっきりと確認できる時はもちろん,そうでない時は家族や介護者,医療者の意思疎通が非常に大事であり,それができていれば自然とACPもできると思わされた症例だった。今後も現場での風通しの良い意思疎通について努力していきたい。本症例についてはご家族より発表について承諾を得た。
( COI 開示:なし)
(倫理審査対象外)