[P-22] 出血傾向によりセルフケア困難な重度歯周病の高齢患者に対して専門的口腔衛生管理が奏効した一症例
【緒言・目的】
脳梗塞に対する抗血小板薬服用で易出血のため、ブラッシングを適切に行えない患者に対し、専門的口腔衛生管理を行い口腔内状態が改善した症例を経験したので報告する。
【症例および経過】
81歳女性。既往歴:脳梗塞、2型糖尿病、狭心症、変形性腰椎症、慢性心不全、骨粗鬆症。内服薬:バイアスピリン、クロピドグレル、フロセミド。2021年6月、前医からの引き継ぎで診療を開始し、歯ぐきから血が出て歯磨きが怖いと訴えがあった。初心時、全顎的な歯肉腫脹、発赤がみられ、歯周組織検査時にPPD4㎜以上60%、BOP84%、PCR77%及び重度の口腔乾燥を認めた。脳梗塞の後遺症で13年前から抗血小板薬を服用、発話が不明瞭であり、コミュニケーションをとることがやや困難であったため、口腔衛生指導の際は、使用している患者自身の歯ブラシを持参してもらい、会話スピード、使用する単語を患者に合わせ、ゆっくり大きな声で繰り返し説明した。なお、本報告の発表について患者本人から文書による同意を得ている。また、歯垢染色後の患者の口腔内写真を用いて指導を行い、口腔内への関心とセルフケアのモチベーションの維持・向上を心掛けた。3年前から独居で生活する自宅で転倒し、顔面打撲をしたことが原因で精神状態が不安定になった時期もあったが、自分の身の回りのことが独力でできることへの評価を伝えたことで、モチベーション回復に繋がった。その後、自分自身の口腔内の状態を正確に理解したことで、ブラッシング時の出血への考え方が変化し、介入後8か月の検査ではPPD4㎜以上42%、BOP62%、PCR49%と改善も見られた。現在も効果的なセルフケアと当科へ途絶えることなく受診できている。
【考察】
歯科衛生士が行う高齢者の口腔衛生管理では、会話のスピード、使用する単語の選択、患者自身の口腔内写真を用いるなど患者にとって身近な説明方法の選択が不可欠である。患者自身の口腔内写真を使用した口腔管理指導は、ブラッシングの効果的な手技を習得でき、自宅でセルフケアの方法が確認できる安心感に繋がり、手技の定着とモチベーションの維持に対して効果的な改善が見られた。今後、公共交通機関を利用して独歩で来院できなくなることも考えられるため、セルフケアの方法及び歯科受診継続の方法を考える必要がある。
(COI開示:なし)
(倫理審査対象外)
脳梗塞に対する抗血小板薬服用で易出血のため、ブラッシングを適切に行えない患者に対し、専門的口腔衛生管理を行い口腔内状態が改善した症例を経験したので報告する。
【症例および経過】
81歳女性。既往歴:脳梗塞、2型糖尿病、狭心症、変形性腰椎症、慢性心不全、骨粗鬆症。内服薬:バイアスピリン、クロピドグレル、フロセミド。2021年6月、前医からの引き継ぎで診療を開始し、歯ぐきから血が出て歯磨きが怖いと訴えがあった。初心時、全顎的な歯肉腫脹、発赤がみられ、歯周組織検査時にPPD4㎜以上60%、BOP84%、PCR77%及び重度の口腔乾燥を認めた。脳梗塞の後遺症で13年前から抗血小板薬を服用、発話が不明瞭であり、コミュニケーションをとることがやや困難であったため、口腔衛生指導の際は、使用している患者自身の歯ブラシを持参してもらい、会話スピード、使用する単語を患者に合わせ、ゆっくり大きな声で繰り返し説明した。なお、本報告の発表について患者本人から文書による同意を得ている。また、歯垢染色後の患者の口腔内写真を用いて指導を行い、口腔内への関心とセルフケアのモチベーションの維持・向上を心掛けた。3年前から独居で生活する自宅で転倒し、顔面打撲をしたことが原因で精神状態が不安定になった時期もあったが、自分の身の回りのことが独力でできることへの評価を伝えたことで、モチベーション回復に繋がった。その後、自分自身の口腔内の状態を正確に理解したことで、ブラッシング時の出血への考え方が変化し、介入後8か月の検査ではPPD4㎜以上42%、BOP62%、PCR49%と改善も見られた。現在も効果的なセルフケアと当科へ途絶えることなく受診できている。
【考察】
歯科衛生士が行う高齢者の口腔衛生管理では、会話のスピード、使用する単語の選択、患者自身の口腔内写真を用いるなど患者にとって身近な説明方法の選択が不可欠である。患者自身の口腔内写真を使用した口腔管理指導は、ブラッシングの効果的な手技を習得でき、自宅でセルフケアの方法が確認できる安心感に繋がり、手技の定着とモチベーションの維持に対して効果的な改善が見られた。今後、公共交通機関を利用して独歩で来院できなくなることも考えられるため、セルフケアの方法及び歯科受診継続の方法を考える必要がある。
(COI開示:なし)
(倫理審査対象外)