一般社団法人日本老年歯科医学会 第35回学術大会

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連携医療・地域医療-1(質疑応答)

2024年6月29日(土) 10:40 〜 11:40 ポスター会場 (大ホールC)

[P-28] 地域中核病院における口腔管理・食支援センター設立後の統計調査

○天埜 皓太1、淺野 一信2、木村 将典1、佐藤 理加子1、多田 瑛3、水谷 早貴4、中尾 幸恵1、大塚 あつ子1、谷口 裕重1 (1. 朝日大学 摂食嚥下リハビリテーション学分野、2. 2)朝日大学病院 栄養管理部、3. 朝日大学歯学部 口腔外科学分野、4. 朝日大学歯学部 障害者歯科学分野)

【目的】当院は21の診療科,病床数381床の地域中核病院である。2020年4月より入院患者を対象とした摂食嚥下障害患者の検査・診断・リハビリテーションを中心とした臨床的介入を開始した。本年度より歯科医師を中心とした多職種で構成される「口腔管理・食支援センター」を設立し,包括的な介入を行っている。今回,4年間の患者動向や介入の成果を検証するとともに今後の課題について考察する。
【方法】当院にて2020年4月から2024年3月までの入院患者と外来受診患者において,当院他科からの嚥下機能評価依頼や他医院からの紹介患者を対象とした。診療録と当科データベースより新患総数,総介入数,紹介元,VE・VF検査数の統計調査を年度別に行った。
【結果と考察】新患総数は初年度の144人から4年度198人(2023年12月時点)に増加しており,3年度の同時期に比べ4年度は31人増加していた。介入数は初年度1780人,4年度2696人であり,3年度の同時期に比べて4年度は約1.2倍増加していた。紹介元の件数は年度により異なっていたが,呼吸器内科と脳神経外科,口腔外科からの紹介が多い結果となった。最も多い原疾患は,初年度と2年度がともに呼吸器疾患,3年度は脳血管疾患,4年度は呼吸器疾患であった。VE・VFの検査数は初年度91回・149回,4年度260・210回であり3年度の同時期に比べ4年度はVEでは約1.5倍,VFでは約1.3倍の増加が認められた。 4年度は以前の3年間に比べ,整形外科・腎臓内科からの紹介が顕著に増加していた。これは3年度から継続しているSSTでの院内活動だけでなく,本年度より開設された口腔管理・食支援センターの開設により活動が院内外に周知され,紹介しやすくなったことに起因すると考えられる。また近年サルコペニア患者が摂食嚥下障害を有していることが多く,整形外科からの需要が増えたことが原因と考えられる。外来からの紹介患者も年々増加しており,今後も増加していくことが予想されるため今後体制を強化していくことと多職種が密に連携していくことが重要であると考えられる。(COI 開示:なし)(朝日大学病院倫理審査会承認番号2023-05-01)