一般社団法人日本老年歯科医学会 第35回学術大会

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連携医療・地域医療-2(質疑応答)

2024年6月29日(土) 14:20 〜 15:20 ポスター会場 (大ホールC)

[P-54] 老人保健施設での口腔衛生管理体制整備の経験

○稲富 みぎわ1、秋山 悠一1、赤木 郁夫3、庄島 慶一4、平塚 正雄2、氷室 秀高3 (1. 医療法人社団秀和会 水巻歯科診療所、2. 沖縄県口腔保健医療センター、3. 医療法人社団秀和会 小倉南歯科医院、4. 医療法人社団秀和会 小倉北歯科医院)

【目的】
 口腔衛生管理体制への取り組みでは,施設職員への指導に関する情報共有が,問題となることが多い.また施設側のマンパワーの問題で,口腔ケアの提供時間が制約されることも経験される.今回私たちは,情報の共有に関しては,情報ボードの掲示を行い,また,利用者を自立磨き,全介助磨き,そして誤嚥リスクの高い方の3つに分けて,口腔ケアの提供時間をずらして,実施することを指導し良好な結果を得たので報告する.
【方法】
 某老人保健施設(100名)を対象として指導と口腔ケアの提供を行った.指導は,歯科衛生士3名が昼食後の歯磨きの時間に合わせて介入し,実際に職員が歯磨きを提供している場所で行った.昼食後の歯磨き介助は,歯科衛生士を中心に,介護・医療職員全員で一斉に取り組んでもらった.具体的な口腔ケアの問題としては,1,介助磨きの実施時間が短い(平均1分以内)2,自立磨きの方へのチェック3,スポンジブラシの使用目的と使用方法4,義歯の清掃方法5,誤嚥リスクの高い方への口腔ケアが,挙げられた.1と2へは,時間帯を分け,まず自立磨きの方に歯ブラシをしてもらい歯科衛生士がチェックし,必要に応じて仕上げ磨きをしてもらった.次に全介助が必要なケースを磨いてもらった.3と4は共通の問題として共有してもらい,利用者個人の口腔内の問題点は口腔ケア関連委員会で総括し,洗面台の横に大きく表として,口腔ケア実施時のみ,張り出してもらった.これにより職員が問題点を把握し,適切な対応を行えるように心がけてもらった.5は看護師を含む2人以上のチームでの担当としてもらった.
【結果と考察】
 100人それぞれに必要とされる口腔衛生管理体制が確立し,必要とされる口腔ケア提供時間,約1時間半程度の時間確保に繋がった.口腔衛生管理体制は,介護保険施設等において,今後,構築が必須化されようとしている.口腔ケアへの歯科衛生士の関与が強く求められている.報告した施設では,歯科衛生士への質問,特に口腔ケアがうまくできているかどうかの評価を求められることが多くなっている.口腔ケアへのモチベーションの持続を図ることが重要となってくるだろう.どうしても一か所に集めて口腔ケアを行うことが,効率が良くなるため,今後の問題点としては,エアロゾル対策として,換気の徹底などを考えていく必要がある.
(COI開示なし)
(医療法人社団 秀和会 倫理委員会 承認番号2402)