[P-73] グミの硬さと対象者の最大咬合力が咀嚼動態に与える影響
【目的】
オーラルフレイルの解消や予防のための解決策として咀嚼機能訓練があるが,これまでの咀嚼機能訓練に関する研究は負荷が単一で,咀嚼機能にばらつきがある高齢者それぞれに適切な負荷がかかっているとは言い難い。我々は,硬さや大きさを自由に設定できるグミの特性に着目し,対象者に応じて負荷を調節できる咀嚼機能訓練が構築できるのではないかと考えた。そこで,本研究はパイロットスタディとして,硬さの異なる市販グミを用い,グミの硬さと対象者の最大咬合力が咀嚼動態に影響を与えるかを検証することを目的とした。
【方法】
対象は,健常若年者7名(男性1名,女性6名,平均27.0±3.5歳)および有床義歯装着高齢者10名(女性10名,平均78.9±8.4歳)とした。筋電計(Trigno Mini sensor,Delsys,アメリカ)を対象者の両側咬筋に貼付し,最大咬合力検査(Dental PrescaleⅡ,ジーシー,日本)を行った後,硬さが,ソフト,ミディアム,ハードの市販グミ約3gをそれぞれ自由咀嚼嚥下させた。まず,筋電図波形より咀嚼開始から嚥下までの咀嚼回数を算出した。次に,最大咬合力検査時の筋活動の最大振幅の平均を100%とし,各咀嚼サイクルにおける筋活動量を%MVCで算出した。咀嚼回数と筋活動量におけるグミ間の差の比較にはFriedman検定およびBonferroniの補正を行ったWilcoxonの符号順位検定を用い,最大咬合力と咀嚼回数および筋活動量の関係についてはSpearmanの順位相関係数を用いた。有意確率は5%とした。
【結果と考察】
グミの硬さが増加すると咀嚼回数および筋活動量は有意に増加した。また,最大咬合力と咀嚼回数の間には強い負の相関関係を認め(ソフト:rs =-0.75,ミディアム:rs=-0.79,ハード:rs=-0.79),咬合力が弱いと咀嚼回数により代償していることが考えられた。また,最大咬合力と筋活動量の間には,ソフト,ミディアムのグミにおいて中等度の負の相関関係を認め(ソフト:rs=-0.55,ミディアム:rs=-0.61),咬合力が弱いと,最大咬合力の大部分を使って咀嚼していると考えられた。以上より,グミの硬さと対象者の最大咬合力は,グミの咀嚼動態に影響を与えることが示された。
(COI開示:なし)
(新潟大学歯学部倫理審査委員会承認番号2015-5072)
オーラルフレイルの解消や予防のための解決策として咀嚼機能訓練があるが,これまでの咀嚼機能訓練に関する研究は負荷が単一で,咀嚼機能にばらつきがある高齢者それぞれに適切な負荷がかかっているとは言い難い。我々は,硬さや大きさを自由に設定できるグミの特性に着目し,対象者に応じて負荷を調節できる咀嚼機能訓練が構築できるのではないかと考えた。そこで,本研究はパイロットスタディとして,硬さの異なる市販グミを用い,グミの硬さと対象者の最大咬合力が咀嚼動態に影響を与えるかを検証することを目的とした。
【方法】
対象は,健常若年者7名(男性1名,女性6名,平均27.0±3.5歳)および有床義歯装着高齢者10名(女性10名,平均78.9±8.4歳)とした。筋電計(Trigno Mini sensor,Delsys,アメリカ)を対象者の両側咬筋に貼付し,最大咬合力検査(Dental PrescaleⅡ,ジーシー,日本)を行った後,硬さが,ソフト,ミディアム,ハードの市販グミ約3gをそれぞれ自由咀嚼嚥下させた。まず,筋電図波形より咀嚼開始から嚥下までの咀嚼回数を算出した。次に,最大咬合力検査時の筋活動の最大振幅の平均を100%とし,各咀嚼サイクルにおける筋活動量を%MVCで算出した。咀嚼回数と筋活動量におけるグミ間の差の比較にはFriedman検定およびBonferroniの補正を行ったWilcoxonの符号順位検定を用い,最大咬合力と咀嚼回数および筋活動量の関係についてはSpearmanの順位相関係数を用いた。有意確率は5%とした。
【結果と考察】
グミの硬さが増加すると咀嚼回数および筋活動量は有意に増加した。また,最大咬合力と咀嚼回数の間には強い負の相関関係を認め(ソフト:rs =-0.75,ミディアム:rs=-0.79,ハード:rs=-0.79),咬合力が弱いと咀嚼回数により代償していることが考えられた。また,最大咬合力と筋活動量の間には,ソフト,ミディアムのグミにおいて中等度の負の相関関係を認め(ソフト:rs=-0.55,ミディアム:rs=-0.61),咬合力が弱いと,最大咬合力の大部分を使って咀嚼していると考えられた。以上より,グミの硬さと対象者の最大咬合力は,グミの咀嚼動態に影響を与えることが示された。
(COI開示:なし)
(新潟大学歯学部倫理審査委員会承認番号2015-5072)