一般社団法人日本老年歯科医学会 第35回学術大会

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その他(質疑応答)

2024年6月30日(日) 10:40 〜 11:40 ポスター会場 (大ホールC)

[P-82] バーニングマウス症候群の疼痛部位とその関連要因

○唐木 純一1、多田 葉子1、久保田 潤平1、木村 貴之2、柿木 保明1 (1. 九州歯科大学、2. きむら歯科口腔医院)

【目的】
 バーニングマウス症候群(以下、BMS)は口腔粘膜が外見上正常であるが持続的な弱い痛みを生じる疾患である。弱い痛みが持続的に続くことを特徴としているが、病因・病態は解明されておらず、治療法も確立されていない。長らく精神的な要因だと考えられてきたが、近年では多因子性疾患であるといわれている。
 BMSの病因を解明するために、本研究では痛みの生じる部位に着目し、舌周囲の痛みとそれ以外の痛みで関連要因を比較したので報告する。
【方法】
 2017年4月3日から2018年6月26日までの間に九州歯科大学付属病院を受診した、BMSの患者を対象とした。データ採取は初診時の診療録を用い、属性(年齢、性別など)、口腔内症状(口腔乾燥感、味覚障害など)、口腔粘膜所見(歯痕、舌浮腫など)、全身疾患、服用薬剤のデータを採取した。除外基準は頭頚部の放射線治療の経験のある者と、舌痛以外を主訴としている者を除外した。
 統計解析はSPSS28.0を用い、χ二乗検定とU検定を用いた。
【結果と考察】
 対象者は62人で、平均年齢は68.90歳、性別は男性8人、女性54人であった。平均服用薬剤数は3.21(±2.68)であった。痛みが舌周囲に限局する者はそれ以外の者より口腔内所見のうち歯痕の存在が多かった。(p<0.05)また、痛みが舌周囲に限局する者はそれ以外の者と比べて服用薬剤数が少なかった。(p<0.05)
 舌の歯痕は主に舌と歯の接触によって生じるため、口腔粘膜が外見上正常であったとしても歯と舌が接触し、その刺激によってBMSが生じている可能性が示唆された。さらに、舌周囲の痛みとそれ以外の痛みで服用薬剤数について差が認められた。舌周囲に痛みが限局しない場合には、全身的な要因との関連性が高いのではないかと考える。これらの結果から、BMSの痛みが生じている部位によって関連要因が異なっている可能性が示唆された。
 本研究の結果から、痛みが舌周囲に限局して生じている場合には舌と歯との接触関係が原因の一つである可能性があり、痛みが舌周囲に限局しない場合には服用薬剤数の影響があることが示唆された。
 このようにBMSの痛みが生じている部位によって関連要因が異なっている可能性があり、BMSの病態や治療の検討を行ううえで、部位を考慮に入れることが必要であると考える。
(COI 開示:なし)
九州歯科大学倫理審査委員会承認番号20-64