[P-87] 歯科訪問診療を行う歯科医師の訪問薬剤師との連携に関する調査
【目的】要介護高齢者が多数を占める在宅薬剤管理指導対象者において、服薬管理と口腔症状・機能には密接な関係があるが、歯科医師と薬剤師の連携は限定的である。本研究では、質の高い連携に必要とされる情報の整理を目的として、歯科訪問診療を行っている歯科医師に対して訪問薬剤師との連携内容に関して調査を行った。【方法】対象は日本老年歯科医学会所属の歯科訪問診療を行っている歯科医師とした。同学会協力のもと、2023年1月26日から2月10日の間に歯科医師会員3352名にメール通知を2回行い、Webアンケートで回答を得た。内容は所属と経験年数、自身の行う薬剤関連業務、歯科訪問診療における薬剤師との連携体験等とした。本研究は令和5年度厚生労働科学研究費補助金長寿科学政策研究事業「薬学的視点を踏まえた自立支援・重度化防止推進のための研究」により実施した。【結果と考察】回答者は40名で、うち82.5%が診療所所属であり、世代構成は30歳代・40歳代・50歳代・60歳代の順に15.0%、20.0%、32.5%、32.5%の割合であった。経験年数は35年以上が最も多く30.0%であった。訪問薬剤管理指導の閲覧経験があるものは35.0%であったが、42.5%が内容を把握していると回答した。47.5%が薬剤関連業務を実施し、聞き取り、薬物有害事象の評価、口腔内残薬の確認、嚥下困難薬剤の確認、服薬指導を行っていた。服薬管理に関する連携の必要性があると回答したものは97.5%であり、その理由は“合併症・薬物有害事象の防止” “単職種では支援困難な在宅療養特有の生活課題” に集約された。歯科医師は薬剤師の専門的知識を活かした薬学的管理と専門的なアセスメントや指導に期待しており、97.5%が情報共有を求め、75.0%が積極的な連携を望むと回答した。一方、連携困難な要因には患家同席が無い上、訪問薬剤師の情報を得ることが難しく、制度上直接連携しにくい状態であることが挙がり、医療用ソーシャルネットワークシステムによる多職種連携に期待している現状が得られた。回答数が少なく限定的であるものの本結果は訪問薬剤に関するガイドに反映され、さらなる連携に資する。(COI開示:なし)(国立長寿医療研究センター倫理・利益相反委員会No.1671-2、東京都健康長寿医療センター研究倫理審査委員会R22-10)