一般社団法人日本老年歯科医学会 第35回学術大会

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連携医療・地域医療-3(質疑応答)

2024年6月30日(日) 10:40 〜 11:40 ポスター会場 (大ホールC)

[P-89] 歯科訪問診療に同行し管理栄養士が栄養指導を行った在宅療養者の概要

○スクリボ 理絵1、斎藤 徹1,2、山崎 裕2、栂安 秀樹1 (1. 医療法人社団秀和会 つがやす歯科医院、2. 北海道大学大学院歯学研究院 口腔健康科学分野 高齢者歯科学教室)

【目的】
 近年、歯科と栄養の連携の重要性が指摘されている。当院は現在1名の管理栄養士が外来や訪問診療で栄養指導を行っている。今回、歯科訪問診療に同行し管理栄養士が栄養指導を行った在宅療養者の概要を報告する。
【方法】
 歯科訪問診療を施行した在宅療養者で、2016年5月~2022年8月の間に管理栄養士が介入した152名中、Mini Nutritional Assessment-Short Form(MNA-SF)の評価をし得た117例を対象とした。
【結果】
 平均年齢は81.3歳で、基礎疾患は認知症が最も多く17例(14.5%)で、次いで脳梗塞14例(12.0%)、パーキンソン病が13例(11.1%)であった。要介護認定者は114例で、要支援1~2:9例(7.9%)、要介護1~2:44例(38.6%)、要介護3~5:61例(53.5%)であった。MNA-SFの平均は8.6ポイントであり、7ポイント以下の低栄養の症例は41例(35.0%)で、8~11ポイントの低栄養のリスクありが58例(49.6%)であった。栄養状態に問題のある症例が多かった。栄養指導の内容は低栄養の改善法が最も多く40例(34.2%)で、次いで嚥下・咀嚼に関することが36例(30.8%)であった。栄養指導時に施行していた歯科治療の内訳は、歯周治療が74例(63.2%)と最も多く、次いで義歯の調整・修理55例(47.0%)、摂食機能療法32例(27.4%)であった(歯科治療内容の重複症例あり)。当院の訪問診療では有歯顎者に対する口腔衛生管理の一環として歯周治療を積極的に行っているため歯周治療症例が多かった。また、義歯調整・修理や摂食機能療法施行患者が多く、咀嚼や嚥下に問題のある症例が多かった。
【考察】
 管理栄養士が歯科訪問診療に同行することで口腔機能や嚥下機能を把握することができ、より適切な栄養指導を行える。在宅療養者では施設療養者に比べて栄養指導を受ける機会が少ないが、今後も歯科と栄養の連携により、在宅療養者に対して適切な栄養管理やQOL向上のための栄養ケアを行っていきたい。
(COI開示:なし)
(北海道大学大学院歯学研究院臨床・疫学研究倫理審査委員会承認番号:2021第3号)