[課題1-1] 摂食嚥下機能評価・訓練パスがもたらす地域連携の新たな可能性
【目的】
当院は岐阜県岐阜市の地域の中核病院として医療を提供しており,地域の医療機関からの嚥下機能評価依頼の紹介患者は年々増加の一途をたどっている。2023年に口腔管理・食支援センターを開設し,歯科医師が中心となって内科医,摂食嚥下障害看護認定看護師,歯科衛生士,薬剤師,管理栄養士,言語聴覚士が密に連携して紹介患者の診療にあたり,必要に応じて当院から訪問診療も実施している。また,当院では外来診療,訪問診療の2軸に加えた第3軸として,2週間の入院により嚥下機能評価を行う評価パスと,摂食嚥下リハビリテーションにより嚥下機能の改善が見込める患者に対してさらに2週間入院して集中的な訓練を行う訓練パスを作成し,診療を行っている。今回,当院における評価パスおよび訓練パスと地域連携のシステムを報告し,評価・訓練パス目的に入院した患者の統計を,実際の症例も交えて報告する。
【方法】
対象者は評価パス・訓練パス目的に入院した13名を対象とした。患者の年齢,性別,既往歴,入院時の主観的包括的栄養評価(SGA),紹介元の医療機関を調査した。また,入院時の摂食嚥下グレード(Gr)の基準による重症度で分類し,入院時と退院時のGrを比較した。
【結果と考察】
年齢の中央値は80歳(男性9名、女性4名)であった。既往歴は脳梗塞8名,パーキンソン病3名,アルツハイマー型認知症5名,その他6名(重複有)で,SGAは低リスク4名,中リスク6名,高リスク3名であった。紹介元の医療機関は在宅かかりつけ医が9名,入院中の病院主治医が4名で,退院先は在宅5名,施設4名,病院4名であった。入院時のGrは中等症6名,重症7名で,入院時と退院時のGrを比較して中等症5名,重症者4名にGrの改善が認められた。また,退院時に紹介元の医療機関に情報提供を行って終診となるケースが多いが,退院後にも外来受診した例,当院から訪問診療を実施した例も見受けられた。地域の医師,歯科医師からの紹介や地域の病院と連携して,摂食嚥下障害を有する患者に対して評価・訓練パスという第3軸の地域連携の方法を構築したことによって,患者の摂食嚥下機能の改善に伴うQOL向上と,地域医療の質の向上に寄与することができたと考えられる。
(COI開示:なし)
(朝日大学病院倫理審査委員会承認番号2023-05-01)
当院は岐阜県岐阜市の地域の中核病院として医療を提供しており,地域の医療機関からの嚥下機能評価依頼の紹介患者は年々増加の一途をたどっている。2023年に口腔管理・食支援センターを開設し,歯科医師が中心となって内科医,摂食嚥下障害看護認定看護師,歯科衛生士,薬剤師,管理栄養士,言語聴覚士が密に連携して紹介患者の診療にあたり,必要に応じて当院から訪問診療も実施している。また,当院では外来診療,訪問診療の2軸に加えた第3軸として,2週間の入院により嚥下機能評価を行う評価パスと,摂食嚥下リハビリテーションにより嚥下機能の改善が見込める患者に対してさらに2週間入院して集中的な訓練を行う訓練パスを作成し,診療を行っている。今回,当院における評価パスおよび訓練パスと地域連携のシステムを報告し,評価・訓練パス目的に入院した患者の統計を,実際の症例も交えて報告する。
【方法】
対象者は評価パス・訓練パス目的に入院した13名を対象とした。患者の年齢,性別,既往歴,入院時の主観的包括的栄養評価(SGA),紹介元の医療機関を調査した。また,入院時の摂食嚥下グレード(Gr)の基準による重症度で分類し,入院時と退院時のGrを比較した。
【結果と考察】
年齢の中央値は80歳(男性9名、女性4名)であった。既往歴は脳梗塞8名,パーキンソン病3名,アルツハイマー型認知症5名,その他6名(重複有)で,SGAは低リスク4名,中リスク6名,高リスク3名であった。紹介元の医療機関は在宅かかりつけ医が9名,入院中の病院主治医が4名で,退院先は在宅5名,施設4名,病院4名であった。入院時のGrは中等症6名,重症7名で,入院時と退院時のGrを比較して中等症5名,重症者4名にGrの改善が認められた。また,退院時に紹介元の医療機関に情報提供を行って終診となるケースが多いが,退院後にも外来受診した例,当院から訪問診療を実施した例も見受けられた。地域の医師,歯科医師からの紹介や地域の病院と連携して,摂食嚥下障害を有する患者に対して評価・訓練パスという第3軸の地域連携の方法を構築したことによって,患者の摂食嚥下機能の改善に伴うQOL向上と,地域医療の質の向上に寄与することができたと考えられる。
(COI開示:なし)
(朝日大学病院倫理審査委員会承認番号2023-05-01)