The 35th Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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課題口演2
口腔機能低下症

Sat. Jun 29, 2024 10:20 AM - 11:40 AM 第3会場 (中ホール)

[課題2-4] 地域在住高齢者における口腔機能の加齢変化-5年間の縦断研究より-

○松房 優菜1、黒田 茉奈1、横井 美有希2、春田 梓2、髙橋 優太郎2、竹内 真帆2、香川 和子2、丸山 真理子2、丸山 詩央2、吉川 峰加2、津賀 一弘2、小林 義和1、吉田 光由1 (1. 藤田医科大学病院歯科・口腔外科学講座、2. 広島大学大学院医系科学研究科先端歯科補綴学研究室)

【目的】
 口腔機能低下症とは,加齢だけでなく疾患や障害など様々な要因によって口腔の機能が複合的に低下している疾患と定義されている。口腔機能低下症は7つの口腔機能検査によって診断されるが,これらが加齢とともに低下するかについては明らかにされていない。我々は,京都先端科学大学と共同で地域在住高齢者の身体機能,口腔機能に関する調査を長年実施しており,今回2019年と2023年の口腔機能検査結果を比較することで,加齢に伴う口腔機能の変化について検討した。
【方法】
 対象者は2019年時点で65〜84歳であった89名(男性17名,女性72名,平均年齢74.0±4.9歳)とした。この調査の案内を郵送して当日公共交通機関等を使って自力で来校した者であり調査開始前に書面にて同意を得た。また,調査開始前の問診により脳血管障害のある者や心機能に問題のある者は除外した。口腔機能低下症に関する7項目の検査を実施し,また全身のフレイルの指標として基本チェックリストも調査した。統計学的分析は,2019年と2023年の測定結果をWilcoxonの符号付順位検定を用いて信頼区間95%で検討した。なお対応のあるノンパラメトリック検定を用いているが表記は平均値±標準偏差としている。
【結果と考察】
 基本チェックリストから8項目以上のフレイルと判定された者は2019年には7名(7.9%)であったものが2023年には18名(20.2%)に増加していた。口腔機能低下症と判定された者は2019年には35名(39.3%),2023年には20名(22.5%)であった。検査ごとにみると,Tongue Coating Indexは39.8±23.2%から5.2±8.4%へと口腔粘膜湿潤度は26.1±2.3から29.0±2.5へとともに有意に改善していた。残存歯数は23.4±7.1本から22.1±7.7本へと有意に減少していた一方で,咬合力や咀嚼能力検査には有意差はなかった。オーラルディアドコキネシスはpa, ta, kaすべてで有意に減少し,舌圧も32.8±6.2kPaから29.7±7.1kPaへと有意に減少していた。EAT-10には差はなかったことから,口腔機能低下症に関する検査には加齢に影響されるものと加齢には影響されないものがあることが示された。
(COI開示なし)
(京都先端科学大学 倫理審査委員会承認番号 No. E-382)