[課題2-3] 地域在住高齢女性のオトガイ舌骨筋の硬度と舌運動機能・筋力・筋量との関連
【目的】
せん断波エラストグラフィにて地域在住高齢女性のオトガイ舌骨筋の硬度を測定し,筋の硬度と,舌運動機能,筋力,筋量との関連を明らかにすること。
【方法】
対象は,2023年10月に京都府K市で開催された体力測定会に参加した高齢者女性のうち研究協力に承諾した127名,年齢の中央値(四分位範囲)は77.1(74.3 ⎯ 81.3)歳である。超音波診断装置 LOGIQ® P10を用いてオトガイ舌骨筋,コントロールとして大腿直筋の硬度測定を行った。対象者には座位で下顎安静位を指示し,プローブの位置として,オトガイ舌骨筋は顎下部中央にてオトガイ隆起と舌骨先端を結んだ直線に平行に、大腿直筋は股関節中間位,膝関節伸展位にて上前腸骨棘と膝蓋骨上縁を結んだ直線の中間点で筋の走行に対して平行に設置した。オトガイ舌骨筋については、下顎骨正中と舌骨先端を結んだ直線の中点より腹側をオトガイ舌骨筋前方、背側をオトガイ舌骨筋後方として測定した。せん断波の伝搬精度を可視化したQuality map上で筋肉の幅に応じて20-70mm2の関心領域を設定し、硬度計測を行った。舌運動機能としてオーラルディアドコキネシス(/pa/, /ta/, /ka/),筋力として舌圧,筋量として舌断面積,オトガイ舌骨筋断面積との関連を,単変量解析後,多変量解析を行い,検討した。
【結果と考察】
オトガイ舌骨筋前方の硬度は,/ta/(r = -0.237, p = 0.01), /ka/ (r = -0.183, p = 0.048)と負の相関を示し,オトガイ舌骨筋後方の硬度は,/pa/(r = -0.237, p = 0.01), /ta/(r = -0.185, p = 0.044), /ka/(r = -0.192, p = 0.036)と負の相関を示した。年齢を調整した多変量解析にて,オトガイ舌骨筋後方の硬度は, /ta/と負の関連を示した(β = −0.189, p = 0.037)。一方,舌圧,舌断面積,オトガイ舌骨筋断面積,大腿直筋硬度との関連は認めなかった。オトガイ舌骨筋の硬度は,舌運動機能に関連する可能性が示唆された。(COI開示:なし)(日本歯科大学 倫理審査委員会承認番号 NDU-T2023-39)
せん断波エラストグラフィにて地域在住高齢女性のオトガイ舌骨筋の硬度を測定し,筋の硬度と,舌運動機能,筋力,筋量との関連を明らかにすること。
【方法】
対象は,2023年10月に京都府K市で開催された体力測定会に参加した高齢者女性のうち研究協力に承諾した127名,年齢の中央値(四分位範囲)は77.1(74.3 ⎯ 81.3)歳である。超音波診断装置 LOGIQ® P10を用いてオトガイ舌骨筋,コントロールとして大腿直筋の硬度測定を行った。対象者には座位で下顎安静位を指示し,プローブの位置として,オトガイ舌骨筋は顎下部中央にてオトガイ隆起と舌骨先端を結んだ直線に平行に、大腿直筋は股関節中間位,膝関節伸展位にて上前腸骨棘と膝蓋骨上縁を結んだ直線の中間点で筋の走行に対して平行に設置した。オトガイ舌骨筋については、下顎骨正中と舌骨先端を結んだ直線の中点より腹側をオトガイ舌骨筋前方、背側をオトガイ舌骨筋後方として測定した。せん断波の伝搬精度を可視化したQuality map上で筋肉の幅に応じて20-70mm2の関心領域を設定し、硬度計測を行った。舌運動機能としてオーラルディアドコキネシス(/pa/, /ta/, /ka/),筋力として舌圧,筋量として舌断面積,オトガイ舌骨筋断面積との関連を,単変量解析後,多変量解析を行い,検討した。
【結果と考察】
オトガイ舌骨筋前方の硬度は,/ta/(r = -0.237, p = 0.01), /ka/ (r = -0.183, p = 0.048)と負の相関を示し,オトガイ舌骨筋後方の硬度は,/pa/(r = -0.237, p = 0.01), /ta/(r = -0.185, p = 0.044), /ka/(r = -0.192, p = 0.036)と負の相関を示した。年齢を調整した多変量解析にて,オトガイ舌骨筋後方の硬度は, /ta/と負の関連を示した(β = −0.189, p = 0.037)。一方,舌圧,舌断面積,オトガイ舌骨筋断面積,大腿直筋硬度との関連は認めなかった。オトガイ舌骨筋の硬度は,舌運動機能に関連する可能性が示唆された。(COI開示:なし)(日本歯科大学 倫理審査委員会承認番号 NDU-T2023-39)