[SY9-1] 高齢者歯科保健活動の方向性を定める「歯・口腔の健康づくりプラン」の概要
【略歴】
1991年 鹿児島大学歯学部卒業
1998年 大阪大学大学院医学系研究科修了
1997年 大阪大学医学部公衆衛生学教室助手
2004年 長崎大学大学院医歯薬学総合研究科口腔保健学助手
2017年 長崎大学生命医科学域口腔保健学准教授
2019年 国立保健医療科学院統括研究官歯科医師
博士(医学)、日本公衆衛生学会認定専門家、日本口腔衛生学会専門医
1991年 鹿児島大学歯学部卒業
1998年 大阪大学大学院医学系研究科修了
1997年 大阪大学医学部公衆衛生学教室助手
2004年 長崎大学大学院医歯薬学総合研究科口腔保健学助手
2017年 長崎大学生命医科学域口腔保健学准教授
2019年 国立保健医療科学院統括研究官歯科医師
博士(医学)、日本公衆衛生学会認定専門家、日本口腔衛生学会専門医
【抄録(Abstract)】
歯科口腔保健の推進に関する施策を総合的に推進するため「歯科口腔保健の推進に関する法律」が平成23(2011)年に制定された。同法第十二条に基づき「歯科口腔保健の推進に関する基本事項」が平成24(2012)年に策定され、5つの基本的方針と19の具体的指標が設定された。基本的事項の計画期間は、健康日本21(第2次)等の他の計画期間と合わせるため、令和5(2023)年度末とされ、その最終評価では、目標達成した項目は19項目のうち2項目、改善傾向にある項目は6項目、変わらないおよび悪化している項目はそれぞれ1項目、および新型コロナウイルス感染症拡大により評価困難となった項目は9項目とされた。これら最終評価での課題を踏まえ、令和5(2023)年10月に「歯科口腔保健の推進に関する基本的事項(第2次)」、別称「歯・口腔の健康づくりプラン」が策定され、本年4月からスタートした。「歯・口腔の健康づくりプラン」は、健康日本21(第3次)と緊密に連携をとりながら、健康日本21(第3次)と同じ令和6(2024)年度から令和17(2035)年度までの12年間計画とされている。
「歯・口腔の健康づくりプラン」では、「歯科口腔保健パーパス」(歯科口腔保健の社会的な存在意義・目的・意図を指す)として「全ての国民にとって健康で質の高い生活を営む基盤となる歯科口腔保健の実現」が示された。歯科口腔保健パーパスの実現にむけて、1)健康寿命の延伸・健康格差の縮小、2)健康で質の高い生活のための歯科口腔保健の実現と歯・口腔に関する健康格差の縮小、および3)歯科口腔保健の推進のための社会環境の整備の3層から構成される「歯科口腔保健に関するグランドデザイン」が提唱され、このグランドデザインに沿った歯・口腔の健康づくりが推進される。
「歯・口腔の健康づくりプラン」の基本的方針は、第1次と同じく1)歯・口腔の健康格差の縮小、2)歯科疾患の予防、3)生活の質の向上に向けた口腔機能の獲得・維持・向上、4)定期的な歯科検診又は歯科医療を受けることが困難な者に対する歯科口腔保健、5)歯科口腔保健の推進するために必要な社会環境の整備の5つとし、17項目の具体的指標が設置された。また、治療していないう蝕を有する者の減少、根面う蝕を有する者の減少、歯周病を有する者の減少、歯の喪失の防止、よく噛んで食べることができる者の増加、およびより多くの自分の歯を有する者の増加に関する具体的な指標については、成人期・高齢期を対象としたより広範な歯科口腔保健対策の実績を評価するため、年齢調整値を用いた指標が提唱された。
本シンポジウムでは、「歯・口腔の健康づくりプラン」の概要、とくに高齢期における基本的方針とその目標に関する最新の情報を提供し、地域で展開される高齢者歯科保健活動の今後の方向性についてともに確認したい。
歯科口腔保健の推進に関する施策を総合的に推進するため「歯科口腔保健の推進に関する法律」が平成23(2011)年に制定された。同法第十二条に基づき「歯科口腔保健の推進に関する基本事項」が平成24(2012)年に策定され、5つの基本的方針と19の具体的指標が設定された。基本的事項の計画期間は、健康日本21(第2次)等の他の計画期間と合わせるため、令和5(2023)年度末とされ、その最終評価では、目標達成した項目は19項目のうち2項目、改善傾向にある項目は6項目、変わらないおよび悪化している項目はそれぞれ1項目、および新型コロナウイルス感染症拡大により評価困難となった項目は9項目とされた。これら最終評価での課題を踏まえ、令和5(2023)年10月に「歯科口腔保健の推進に関する基本的事項(第2次)」、別称「歯・口腔の健康づくりプラン」が策定され、本年4月からスタートした。「歯・口腔の健康づくりプラン」は、健康日本21(第3次)と緊密に連携をとりながら、健康日本21(第3次)と同じ令和6(2024)年度から令和17(2035)年度までの12年間計画とされている。
「歯・口腔の健康づくりプラン」では、「歯科口腔保健パーパス」(歯科口腔保健の社会的な存在意義・目的・意図を指す)として「全ての国民にとって健康で質の高い生活を営む基盤となる歯科口腔保健の実現」が示された。歯科口腔保健パーパスの実現にむけて、1)健康寿命の延伸・健康格差の縮小、2)健康で質の高い生活のための歯科口腔保健の実現と歯・口腔に関する健康格差の縮小、および3)歯科口腔保健の推進のための社会環境の整備の3層から構成される「歯科口腔保健に関するグランドデザイン」が提唱され、このグランドデザインに沿った歯・口腔の健康づくりが推進される。
「歯・口腔の健康づくりプラン」の基本的方針は、第1次と同じく1)歯・口腔の健康格差の縮小、2)歯科疾患の予防、3)生活の質の向上に向けた口腔機能の獲得・維持・向上、4)定期的な歯科検診又は歯科医療を受けることが困難な者に対する歯科口腔保健、5)歯科口腔保健の推進するために必要な社会環境の整備の5つとし、17項目の具体的指標が設置された。また、治療していないう蝕を有する者の減少、根面う蝕を有する者の減少、歯周病を有する者の減少、歯の喪失の防止、よく噛んで食べることができる者の増加、およびより多くの自分の歯を有する者の増加に関する具体的な指標については、成人期・高齢期を対象としたより広範な歯科口腔保健対策の実績を評価するため、年齢調整値を用いた指標が提唱された。
本シンポジウムでは、「歯・口腔の健康づくりプラン」の概要、とくに高齢期における基本的方針とその目標に関する最新の情報を提供し、地域で展開される高齢者歯科保健活動の今後の方向性についてともに確認したい。