GISA & IAG'i 2023

講演情報

口頭発表(GISA)

経済

2023年10月29日(日) 09:40 〜 10:40 E会場 (C-301 C棟3階)

座長: 馬塲 弘樹 (一橋大学)

09:40 〜 10:00

[E6-03] 空間回帰不連続デザインを用いた危険密集市街地整備の経済効果

*河端 瑞貴1、直井 道生1、安田 昌平2 (1. 慶應義塾大学経済学部、2. 日本大学経済学部)

キーワード:危険密集市街地, 地価, 空間回帰不連続デザイン, 東京

首都直下地震の切迫性に直面する東京では,地震時等に危険な密集市街地の整備改善が積極的に進められてきた.本研究では,東京都を対象に,空間回帰不連続デザインを用いて危険密集市街地整備の経済効果を分析した.具体的には,国土交通省が公表する「地震時等に著しく危険な密集市街地」(危険密集市街地)境界における地震被害リスクの不連続性に着目し,地震被害リスクの軽減が地価(固定資産税路線価)に与える影響(境界効果)を推定した.その結果,期待通り境界効果は正で有意であった.さらに,道路幅員の広い危険密集市街地境界付近に限定したサンプルでは,境界効果の度合いが大きく,地震被害リスクの空間スピルオーバーから生じるバイアスの軽減および延焼遮断帯の整備の重要性が示唆された.今後は,複数年次および詳細なデータを用いて空間回帰不連続の差をとるなど,より精緻な空間因果推論を用いた分析を試みたい.