日本保育学会第76回大会

ご挨拶

 近年、社会の変化が加速度を増し、これまでとは「非連続」と言えるほど劇的に変わる状況が生じています。新型コロナウイルス感染症の感染拡大をはじめとする社会の急激な変化のなかで、子ども一人一人が自分のよさや可能性を認識するとともに、あらゆる他者を価値のある存在として尊重し、多様な人々と協働しながら様々な社会的変化を乗り越え、豊かな人生を切り拓き、持続可能な社会の創り手となることができるよう、その資質・能力を育成することの大切さが唱えられています。
 こうした状況にあって、すべての子どものウェルビーイング(幸福)を実現するため、生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なものとしての乳幼児期の保育(養護と教育の一体的な展開)に求められるものは何か。どのようにすれば、すべての子どもの「保育を受ける権利」を保障することができるのか、また、専門職として子どもの心身ともに健やかな育ちに関わる保育の実践者・研究者をめぐる状況と課題はいかなるものであるのかが問われています。
 本大会は、「保育を創る,未来を拓く~保育学の創造をめざして~」をテーマに、予測困難で先行き不透明な未来を切り拓く主体的で創造的な保育のあり方について、実践的かつ理論的な側面から模索していきたいと考えています。「保育実践から学ぶ」、「保育のエビデンスを積み上げる」を共通のスローガンに、保育の実践と理論のしなやかな往還(交流)を通して、保育実践を支える保育学の「学としての創造」をめざしていきたいものです。
 主な内容として、大会記念の基調講演『「いらない赤ちゃん」「いてもらっては困る赤ちゃん」を救えるのか?』(蓮田 健氏)をはじめ、学会企画シンポジウムや国際シンポジウム(国際交流委員会・OMEPとの共同)、実行委員会企画シンポジウム、自主シンポジウム、口頭発表、ポスター発表などが予定されています。
 今大会は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止の観点から、オンライン開催とすることにいたします。熊本県内の保育者養成校教員を中心に、九州・沖縄地方の理事・評議員や九州・沖縄各県の保育実践者・研究者、保育行政機関などの協力を得て、「九州・沖縄が一つ」となった大会を作り上げていくべく関係者一同奮闘しています。会員の皆様の多数のご参加をお待ちいたしております。


  
一般社団法人日本保育学会第76回大会
実行委員長  伊藤良高