[指定P1-2] 我が施設のICU紹介-患者中心の全個室型ICU-
はじめに
当院は東京西部地区三多摩唯一の特定機能病院として地域医療機関と連携を密に図りながら高度医療を提供している。許可病床数1153床のうち、3ユニット計70床のICUを有している。その中において当ICUは、院内急変や過大侵襲を受けた患者等を収容するGeneral ICUとしての役割を担い、診療科と麻酔科が協働して治療にあたるSemi Closed ICUの形態をとっている。全18床の病室は個室となっている。
看護師の意見が取り入れられたICUの構造
非日常的な空間で治療を余儀なくされる患者の早期回復はもちろんのこと、少しでも日常的な空間に近づくことができるよう患者と家族の時間を大切するため全床個室のICUが設計された。中央にスタッフステーションを配置し、それを囲むように病室を配置している。病室の外側に廊下を作り、廊下沿いには面会者が利用できるスペースとして待合室やICを行うための面談室3室を確保した。面会者は、外周廊下から直接各病室に入るため、他患者や医療者の緊迫した雰囲気に触れる機会を減らすとともに患者・家族のプライバシーが担保できる。しかし、病室には自然採光を取り入れる窓がなく、日内リズムの調整や時間等の感覚遮断から、せん妄を発症する患者が増加することが懸念されたが、開設前後で優位な増加は認めていない。医療者にとっては、面会者がワーキングエリアを通らないことで業務の寸断が起こりにくく、動線の短縮や死角の軽減につながっている。しかし病室内は壁で仕切られているため、他病室の状況が把握しにくいというデメリットもある。
面会について
当ICUでは非日常的な環境を少しでも日常的な環境に近づけるため、24時間面会可とし、1回の面会時間の制限も設けていない。面会者については本人または主要家族の希望がある場合は、友人・知人も許可しており、年齢の制限もなく面会可能としている。主要家族の面会については、看護師がケアを実施している時でも待たせることがないよう配慮し、家族の希望に沿って可能な範囲でケアの参加を促している。家族は日常的な看護師の関わりやケアの実際を知り、時にケアに参加することで情報・接近・保証のニードの充足に繋がる。また看護師は家族や患者とのコミュニケーションを通して、入院前の患者、家族の情報をタイムリーに収集し、個別性のあるケアに繋げることが出来るため。患者・家族・医療者の3者にとって有益であると考える。
まとめ
当ICUの全床個室という構造は、集中治療を必要とする患者とその家族の療養環境としては適していると考える。また面会についても患者・家族に配慮した対応ができていると考える。しかし、さらに日常的な空間に近づけていくためには、構造上の問題を少しでも補うため、今ある環境の中で、看護を実践する看護師が他職種との連携を密に図りながら、個のニーズに合わせた医療・看護が提供できるように日々取り組んでいくことが求められると考える。
当院は東京西部地区三多摩唯一の特定機能病院として地域医療機関と連携を密に図りながら高度医療を提供している。許可病床数1153床のうち、3ユニット計70床のICUを有している。その中において当ICUは、院内急変や過大侵襲を受けた患者等を収容するGeneral ICUとしての役割を担い、診療科と麻酔科が協働して治療にあたるSemi Closed ICUの形態をとっている。全18床の病室は個室となっている。
看護師の意見が取り入れられたICUの構造
非日常的な空間で治療を余儀なくされる患者の早期回復はもちろんのこと、少しでも日常的な空間に近づくことができるよう患者と家族の時間を大切するため全床個室のICUが設計された。中央にスタッフステーションを配置し、それを囲むように病室を配置している。病室の外側に廊下を作り、廊下沿いには面会者が利用できるスペースとして待合室やICを行うための面談室3室を確保した。面会者は、外周廊下から直接各病室に入るため、他患者や医療者の緊迫した雰囲気に触れる機会を減らすとともに患者・家族のプライバシーが担保できる。しかし、病室には自然採光を取り入れる窓がなく、日内リズムの調整や時間等の感覚遮断から、せん妄を発症する患者が増加することが懸念されたが、開設前後で優位な増加は認めていない。医療者にとっては、面会者がワーキングエリアを通らないことで業務の寸断が起こりにくく、動線の短縮や死角の軽減につながっている。しかし病室内は壁で仕切られているため、他病室の状況が把握しにくいというデメリットもある。
面会について
当ICUでは非日常的な環境を少しでも日常的な環境に近づけるため、24時間面会可とし、1回の面会時間の制限も設けていない。面会者については本人または主要家族の希望がある場合は、友人・知人も許可しており、年齢の制限もなく面会可能としている。主要家族の面会については、看護師がケアを実施している時でも待たせることがないよう配慮し、家族の希望に沿って可能な範囲でケアの参加を促している。家族は日常的な看護師の関わりやケアの実際を知り、時にケアに参加することで情報・接近・保証のニードの充足に繋がる。また看護師は家族や患者とのコミュニケーションを通して、入院前の患者、家族の情報をタイムリーに収集し、個別性のあるケアに繋げることが出来るため。患者・家族・医療者の3者にとって有益であると考える。
まとめ
当ICUの全床個室という構造は、集中治療を必要とする患者とその家族の療養環境としては適していると考える。また面会についても患者・家族に配慮した対応ができていると考える。しかし、さらに日常的な空間に近づけていくためには、構造上の問題を少しでも補うため、今ある環境の中で、看護を実践する看護師が他職種との連携を密に図りながら、個のニーズに合わせた医療・看護が提供できるように日々取り組んでいくことが求められると考える。