[O10-2] NPPVに伴う医療関連機器圧迫創傷の発生に関連する看護ケア要因
[背景]
急性期領域では非侵襲的陽圧換気療法(以下NPPV)による医療関連機器圧迫創傷(以下MDRPU)の発生割合が高い。その要因にはリーク対策に伴うストラップの過剰な締め付け、マスクフィッティングの良否、予防的に用いられる創傷被覆材による発見遅延などがある。これらはMDRPU予防対策において看護の質がより密接に関連するケア要因であり、その具体には看護ケアを導く思考や行動に影響を与える個人特性が影響を及ぼしていると考えられる。
[目的]
NPPVにおける看護の実際とMDRPU発生予防に向けた看護ケアを導く思考・行動に影響を与える看護師の個人特性について明らかにし、看護ケアの改善策を導く。
[方法]
研究デザインは質問紙による調査研究である。MDRPU発生に影響を及ぼすケア要因に関わる臨床での看護場面を取り上げ、それに関わる看護師の思考や行動を導き、closed formによる44細目の質問を作成した。看護師経験年数やNPPVに関する教育経験などのほか、患者に対する看護場面に関する質問を調査内容に含めた。2017年12月(1ヶ月)の期間にA病院集中治療領域の看護師222名を対象に調査を実施し、対象者の背景のほか、看護ケアを導く思考・行動と個人特性との関係についてカテゴリー化し、集中治療領域のクリニカルラダーを基に職位のある者、CNS・CNなどの資格取得者を含む看護師経験年数6年目以上の看護実践能力中堅者以上群とそれ未満群で比較検討した。データは記述統計とMann-WhitneyのU検定を用いた。本研究は所属施設の倫理審査委員会の承認を得て行った。
[結果]
調査対象者222名中182人から回答が得られ(回答率81.98%)、全項目に回答があった170名を分析対象とした(有効回答率76.58%)。中堅者以上の割合は47.06%で、全体の94.00%がNPPVを受ける患者の看護を経験していた。73.13%の看護師が主に院内教育によるNPPV教育を受けていたが、フィッティング教育受講者は53.13%に留まった。また、68.13%の者が患者の理解と協力が得られないことによってフィッティングに苦慮した経験を持ち、その理由として「せん妄・不穏」という病態を挙げた。さらに、MDRPUを発生した際に「意識清明であった患者」であるにも関わらず「痛みの訴えがなかった患者」は17.95%であった。リーク調整はその多くがベルトによって行われ、アーム等のマスクの機能を理解している者は60.00%に留まった。解析では、”MDRPU発生経験“、”MDRPU予防対策への意識や実践””“
“医療機器の機能・構造に関する知識“などのカテゴリーが中堅者以上において有意にその割合が高かった。
[考察]
MDRPU発生経験や看護経験に伴う役割認識などが予防に向けた意識の向上と実践度に関与している。実践能力の高い看護師を組織内教育に活用し、マスクの機能やフィッティング、外力低減ケアの適正評価に関する院内教育をこれまで以上に進める必要がある。意識が清明でありながら疼痛の訴えがなかった患者の背景には、呼吸困難によるコミュニケーション障害や疼痛の自己抑制が存在したと考えられる。教育内容にはNPPVマスクによって生じる閉塞感や不安感、疼痛の疑似体験などを盛り込み、疼痛緩和ケアの手段を習熟させるとともに、MDRPU発生リスクや提供する看護ケアに関する丁寧な情報提供により患者や家族が治療やケアに参加できる環境を構築する必要がある。
急性期領域では非侵襲的陽圧換気療法(以下NPPV)による医療関連機器圧迫創傷(以下MDRPU)の発生割合が高い。その要因にはリーク対策に伴うストラップの過剰な締め付け、マスクフィッティングの良否、予防的に用いられる創傷被覆材による発見遅延などがある。これらはMDRPU予防対策において看護の質がより密接に関連するケア要因であり、その具体には看護ケアを導く思考や行動に影響を与える個人特性が影響を及ぼしていると考えられる。
[目的]
NPPVにおける看護の実際とMDRPU発生予防に向けた看護ケアを導く思考・行動に影響を与える看護師の個人特性について明らかにし、看護ケアの改善策を導く。
[方法]
研究デザインは質問紙による調査研究である。MDRPU発生に影響を及ぼすケア要因に関わる臨床での看護場面を取り上げ、それに関わる看護師の思考や行動を導き、closed formによる44細目の質問を作成した。看護師経験年数やNPPVに関する教育経験などのほか、患者に対する看護場面に関する質問を調査内容に含めた。2017年12月(1ヶ月)の期間にA病院集中治療領域の看護師222名を対象に調査を実施し、対象者の背景のほか、看護ケアを導く思考・行動と個人特性との関係についてカテゴリー化し、集中治療領域のクリニカルラダーを基に職位のある者、CNS・CNなどの資格取得者を含む看護師経験年数6年目以上の看護実践能力中堅者以上群とそれ未満群で比較検討した。データは記述統計とMann-WhitneyのU検定を用いた。本研究は所属施設の倫理審査委員会の承認を得て行った。
[結果]
調査対象者222名中182人から回答が得られ(回答率81.98%)、全項目に回答があった170名を分析対象とした(有効回答率76.58%)。中堅者以上の割合は47.06%で、全体の94.00%がNPPVを受ける患者の看護を経験していた。73.13%の看護師が主に院内教育によるNPPV教育を受けていたが、フィッティング教育受講者は53.13%に留まった。また、68.13%の者が患者の理解と協力が得られないことによってフィッティングに苦慮した経験を持ち、その理由として「せん妄・不穏」という病態を挙げた。さらに、MDRPUを発生した際に「意識清明であった患者」であるにも関わらず「痛みの訴えがなかった患者」は17.95%であった。リーク調整はその多くがベルトによって行われ、アーム等のマスクの機能を理解している者は60.00%に留まった。解析では、”MDRPU発生経験“、”MDRPU予防対策への意識や実践””“
“医療機器の機能・構造に関する知識“などのカテゴリーが中堅者以上において有意にその割合が高かった。
[考察]
MDRPU発生経験や看護経験に伴う役割認識などが予防に向けた意識の向上と実践度に関与している。実践能力の高い看護師を組織内教育に活用し、マスクの機能やフィッティング、外力低減ケアの適正評価に関する院内教育をこれまで以上に進める必要がある。意識が清明でありながら疼痛の訴えがなかった患者の背景には、呼吸困難によるコミュニケーション障害や疼痛の自己抑制が存在したと考えられる。教育内容にはNPPVマスクによって生じる閉塞感や不安感、疼痛の疑似体験などを盛り込み、疼痛緩和ケアの手段を習熟させるとともに、MDRPU発生リスクや提供する看護ケアに関する丁寧な情報提供により患者や家族が治療やケアに参加できる環境を構築する必要がある。