第14回日本クリティカルケア看護学会学術集会

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一般演題(口演)

一般演題(口演) O6群
看護教育

Sun. Jul 1, 2018 10:15 AM - 11:15 AM 第7会場 (2階 蓬莱)

座長:平尾 明美(神戸大学医学部附属病院), 座長:河合 正成(敦賀市立看護大学 看護学部看護学科)

[O6-5] 二次救急医療施設における臨床判断の実際と臨床判断能力育成における課題

江口 秀子1, 明石 惠子2 (1.大阪青山大学健康科学部, 2.名古屋市立大学看護学部)

【目的】 多様な患者を対象とする二次救急医療施設では、院内トリアージをはじめ多くの場面で臨床判断が必要となる。しかし、救急専従看護師が少なく他部署との兼務看護師が多いため、救急患者に対する臨床判断能力が育ちにくい環境であると考える。そこで本研究の目的は、二次救急医療施設で勤務する看護師の臨床判断の実際と臨床判断能力育成における課題を明らかにすることとした。【研究方法】 対象:近畿圏内の二次救急医療施設に勤務する看護師で、日本救急看護学会が提示している救急看護クリニカルラダーの分類に基づいてビギナー群、スタンダード群、チームリーダー群、スペシャリスト群それぞれ3~5名とした。 データ収集方法:フォーカスグループインタビューを行い、許可を得て録音した。 分析方法:録音データから逐語録を作成し、臨床判断能力獲得もしくは指導の実際とその影響要因についての語りを抜き出し、コードとした。抽出したコードを類似性に従って分類・整理し、サブカテゴリー、カテゴリーを抽出した。 倫理的配慮:本研究は所属施設の研究倫理委員会の承認を得て実施した。研究への参加は自由意思であり、発言内容については施設や個人が特定されないように配慮することを口頭と文書で説明し、文書で同意を得た。【結果】 抽出されたカテゴリー数は、ビギナー群7、スタンダード群8、チームリーダー群7、スペシャリスト群12であった。カテゴリーを【】、サブカテゴリーを『』で示す。 ビギナー群の臨床判断能力獲得の促進要因は、【高い自己効力感】と【経験の積み重ね】であった。その一方で、『指導看護師との日々の振り返り』の中で『できない自分と向き合うことでの自信喪失』が【自身が持てないことでの不安】につながっていた。スタンダード群の臨床判断能力獲得の促進要因は、【高い自己効力感】【より良い関係性の上に成り立つ指導】【経験知】であった。 チームリーダー群の指導の実際としては、体験学習など【興味・関心を引き出す工夫】をはじめ【効果的な学習方法の模索】をしていた。さらにスペシャリスト群は、【効果的な学習環境の調整】も行い、【先輩から後輩につなぐ経験知】として実践モデルになること意識し、『自分たちの学びの経験を後輩指導に活かす』ようにしていた。 次にビギナー・スタンダード群を学習者、チームリーダー・スペシャリスト群を指導者として分析した。その結果、学習者は【先輩の助言を受けながら進める臨床判断のプロセス】を経て、タナーの臨床判断モデルの一連のプロセスに則って判断ができるようになっていた。そして【経験の積み重ね】を【経験知】にしていくためには振り返りが重要であることを認識する一方で、リフレクションへの抵抗感を示していた。指導者は【効果的な学習方法を模索】し、【経験からの学び】を直観的推論につなげるためには振り返りが重要と捉えていた。しかし、【救急を取り巻く忙しさ】による『多忙な中での指導時間の確保のむずかしさ』が臨床判断能力育成を困難にする要因になっていた。【考察】 学習者も指導者も臨床判断能力を高めていくためには、経験の積み重ねと振り返りが必要であることを認識し、【より良い関係性の上に成り立つ指導】と【高い自己効力感】が重要と捉えながら、そこには認識のずれが生じていることが明らかになった。経験学習を効果的に行うためには、1)学習者の臨床判断能力やレジネスに応じた目標設定、2)学習者の承認欲求や自信を高める関わり、3)学習者と指導者とのコミュニケーションが重要である。