第14回日本クリティカルケア看護学会学術集会

Presentation information

一般演題(口演)

一般演題(口演) O8群
その他

Sun. Jul 1, 2018 11:25 AM - 12:15 PM 第7会場 (2階 蓬莱)

座長:加藤 弘美(千葉県救急医療センター), 座長:星 豪人(医療法人社団 筑波記念会 筑波記念病院 看護管理室)

[O8-5] 早期離床に対するICU看護師の知識の実態

森田 真理子, 吉川 祐輔, 佐々木 梢, 木田 遥乃 (宝塚市立病院)

【目的】ICUに入室する多くの患者はICUを退室する時期になっても,筋肉萎縮,筋力低下により寝たきりで歩けない患者が多い。これらの障害はICU-acquired weakness(ICU-AW)と呼ばれている。急性期重症患者のICU管理において,2010年に提案されたABCDEバンドルや2013年に策定されたPADガイドラインが提唱され、ICU-AW予防のために早期離床が重要視されている。そこで早期離床に必要な知識、技術を習得するために、早期離床チームによる勉強会を実施し、勉強会前後のスタッフの意識の変化について検証した。【方法】調査期間:2017年7月~2018年2月調査対象:A病院集中治療室看護師研究デザイン:質的研究分析方法:勉強会の内容は、講義と技術実習を行った。その後いつでもパソコンから実技動画を閲覧できるようにした。アンケート調査を勉強会前の7月、勉強会後の2月に実施した。それぞれのアンケート項目は2~3段階評価で行った。データは正規分布にはならず、又途中スタッフの退職もあり同じ群での比較が出来なかったためマンホイットニーU検定および主成分分析を行った。【倫理的配慮】アンケートで得られた情報は、本研究以外には使用しないものとし、提出をもって研究参加の同意を得た。所属部署、個人の不利益やプライバシーが侵害される事のないように配慮した。【結果】質問Q1はp<.003,Q2はp<.004,Q6はp<.021となり「有意差がある」という結果となった。Q3は勉強会後で中央値が低下しているが検定の結果はP<.365となり「有意差はない」という結果になった。その他の「有意差がない」となった質問群は、勉強会前のデータの中央値が2~3と良く、第1四分位数、第3四分位数の大きな変化がみられない。逆に「有意差がある」となった質問Q1,Q2,Q6について、Q1は、中央値に変化はないが、前では第1四分位数の上昇が見られた。Q2、Q3では、中央値の変化、第3四分位数も上昇している。この結果の意味するもの明確にするため主成分分析を行った。勉強会前のデータは、第2主成分までで約57.02.%の情報量が集約された.第1主成分の正の方向は「リハビリの一般的知識がある」,第2主成分の負の方向は,「リハビリによる生体反応が分かる」と解釈した.勉強会後のデータは、第2主成分までで約63.75.%の情報量が集約された.第1主成分の負の方向は「リハビリの一般的知識がある」,第2主成分の正の方向は,「端座位の効果について分かる」と解釈した.【考察】勉強会を実施する事で、多くの項目で有意差が出るであろうと仮定していたが、そうではなかった。アンケートの選択項目が3つと少なかった事も誘因であると考える。しかし3つの項目については、有意差が出た。このデータの特徴を捉えるため、主成分分析を行った。勉強会前は、リハビリの一般的知識や、リハビリの生体反応についての知識について、ばらつきが見られた。しかし、勉強会後には、データが真ん中に集まっており、前後を比較して知識が定着しているのが分かる。リハビリの概念や、筋肉運動など目に見えるものに対しては、勉強会の影響があると言えるが、目に見えにくい内部の生体反応についての知識の定着については、勉強会が与える影響は少ない。したがって、早期離床に対しする知識、技術の向上には、与える勉強会と、自己学習の2つの選択が必要であったと考えられる。【結論】勉強会の実施だけでは、知識、技術の向上は難しい。視覚的に見える内容は勉強会によって効果が得られるが、視覚的に見えない内容は勉強会による効果は得難い。各個人が早期リハビリに興味を示し、自ら自己学習できるようにする事が今後の早期離床の課題とする。