第14回日本クリティカルケア看護学会学術集会

講演情報

一般演題(示説)

一般演題(示説) P1群
その他

2018年6月30日(土) 14:40 〜 15:25 ポスター会場 (1階 展示ホール)

座長:桑村 直樹(公益社団法人日本看護協会 看護研修学校)

[P1-3] 専門病院で働きたいと考えている看護師の特徴について

石川 達久 (社団法人栄悠会綾瀬循環器病院)

【研究背景】看護師は現役の間、数カ所の病院や介護福祉施設で勤務経験をするといわれている。または、ローテーションなどで同施設でも違う診療科の看護を経験する事がある。そこから自らの好きな看護分野を見つけ、看護を学ぶために入職・転職してくる看護師が、臓器別、及び患者対象が絞られる診療科に特化した病院(以下専門病院と定義、C病院も該当)には多い。日本看護協会は看護職の労働環境の整備推進を進めている。そのデータの一つとして同協会は、2016年度病院看護実態調査結果を公表している。このレポートによると、2016年度、看護師の離職率は、常勤10.9%・新卒は7.8%であり、特に離職率が高率なのは、小規模病院(専門病院を含む)・個人病院・医療法人の順である事を指摘している。専門病院は特に看護師の離職が多い為、早急な離職防止対策が必要である。その為には、看護師が専門病院に入職したい動機を知ることが必要である。【研究目的】専門病院に入職を希望する看護師はどのような特性があるのかを明らかにすることにより、離職を防ぐ対策を検討する。【方法】2010年から2016年にC病院に入職応募書類を提出してきた看護師の入職目的記入欄に記載されている言語を忠実にword2010に入力。経験年数・過去の所属部署のデータベースを作成(n=284)。言語分析ソフトKHcorder〈http://khc.sourceforbe.net>を使用。対応分析結果から共起ネットワークを作成した。【倫理的配慮】病院長・看護部長に許可を得て、病院管理部門である一室を使用し情報が漏洩しないようにした。【結果】対応分析から共起ネットワーク30語を抽出。共起ネットワーク作図結果より、・専門性の深い知識、技術を身につけたい・自分の今までの経験を活かしていきたい・医療の質を高めたい・病院理念と専門病院の関連性・専門病院ならではの手術救急件数・学べる環境が整っている・院内の教育制度に魅力を感じている・看護を中心とした教育体制が充実している病院に魅力を感じている看護師が多いという言語が抽出された。またデータベースから入職希望看護師経験年数が平均2~4年・混合病棟出身者が専門病院を希望していることが分かった。【考察】看護師は看護実践に対して喜びと充実感を得て業務をする職種である。診療科の配属希望が叶わない場合は何で看護師になったのかといった自責にかられたり、看護をしている充実感が得られない場合もある。ストレス要因にもなる。また情緒的消耗感が生まれバーンアウトに陥る事もある。配属希望が通らない場合、専門病院に転職を考えるのではないか。看護師経験年数が2~4年と低いこと・混合病棟出身者が専門病院を希望していることからも伺い知ることが出来る。看護師は学習意欲が高く、今までの経験値を活かして専門病院で働きたいといった傾向が見て取れたが、看護師が一人前になるには最低5年以上の歳月を要するといった文献もある。専門病院は特性上高度な医療知識と看護経験が求められるため、専門分野で勤務した事のない看護師は今までの経験を活かすことは難しい。看護の職場は幅広い年代層が本来は勤務しているのが理想である。しかし全国的には看護師は不足しており、また経験豊富な看護師が病院にあまりいない現状がある。専門病院はさらに看護師の離職率が高い。定着率を上げるには経験豊富な指導者を育成できる教育体制を整え、働きやすい環境作りを行っていく事が重要であると考える。【結語】専門病院で看護師を定着させるには、経験豊富な看護師を育成できる教育体勢を整え、働きやすい環境作りを提供していく事が1つの解決策である事が考えられた。