[P1-5] ICUに勤務する看護師へのMテクニックによるリラクセーション効果の検証
【目的】
Mテクニックとは、英国のJane Buckle博士によって開発されたICUに入室している重症患者にも適応可能なマッサージ法である。Mとはマニュアルという意味をもち、通常のマッサージ圧を10とすると3の圧で行う手法である。英国や米国ではICU での取り組みがなされ、重症患者に対するリラクセーション効果が得られている。研究代表者は、2013年に日本クリティカルケア看護学会主催のJane Buckle博士による研修セミナーに参加し、Mテクニックの教授を受けた。その後、2015年6月にMテクニックプラティクショナー国際認定を受け、健常ボランティアやICUに入室している患者を研究対象に検証をすすめてきた。本研究の目的は、ICUに勤務する看護師への昼休憩時間を用いたMテクニックによるリラクセーション効果を検証することである。
【方法】
対象者は、A病院のICUに勤務する看護師であり、Mテクニック介入群と非介入群に分け、昼休憩時間に無臭のキャリアオイルを使用し、約10分間のMテクニックを研究代表者が実施した。介入群はベッドに臥床してもらい、両上腕から肘関節にかけて計10分間Mテクニックを実施した。一方、非介入群には臥床のみで10分間過ごしてもらった。リラクセーション効果は、唾液アミラーゼ値の変化および心拍変動解析を用いて副交感神経系(以下、HF)の変化を比較した、主観的評価は介入前後の自由記述内容とした。統計学的処理は、SPSSVer.24 for Windowsを用いて2群間の介入前後のデータを検定した。心拍変動は、AC-301Aアクティブトレーサを用いて心拍数(R-R間隔)を記録し、専用解析ソフトMemCalcを用いて解析を行った(GMS社製)。本研究は、研究協力病院および研究代表者の所属大学および研究協力病院の研究倫理員会の承認を得、対象者に事前に十分な説明と文書で同意を得た上で実施した。介入については、事前にパッチテストを行い、皮膚異常や気分不良がないことを確認し、介入当日も異常の早期発見に努めた。
【結果】
研究対象は23名。介入群10名(男性1名)、非介入群13名(男性1名)、年齢は20歳代~40歳代で両群ともに30~40歳代が最も多く、約80%を占めた。両群の看護師経験年数やICU勤続年数に差はなかった。マン・ホイットニ検定を実施したところ、Mテクニック前後の唾液アミラーゼ値には有意な差はなかった。介入前後のHF中央値と四分位偏差については、介入群は介入前97.3(54.5)msec2、介入後201.6(176)msec2、非介入群は前104.6(60.0)msec2、後193.3(126.5)msec2であり、介入群にてMテクニック後にHFが有意に高くなる傾向を示した(p<0.05)。介入後の主観的評価については、「リラックスできた」、「朝から忙しかったので癒された」、「気分が落ち着いて、次の勤務に取り組めた」、「マッサージは弱く感じたが、リラックスできた」、「午前中の業務の振り返り、午後からのことなど考えることができた」、「自分の好みの香りがあるといい」等であった。
【考察】
ICUで勤務する看護師は重症患者の看護という役割を担うため、常に緊張を強いられた状態にあることが多い。そのような中において休憩時間を利用したMテクニックは、看護師の勤務中の思考整理や癒しにつながる可能性が示された。
Mテクニックとは、英国のJane Buckle博士によって開発されたICUに入室している重症患者にも適応可能なマッサージ法である。Mとはマニュアルという意味をもち、通常のマッサージ圧を10とすると3の圧で行う手法である。英国や米国ではICU での取り組みがなされ、重症患者に対するリラクセーション効果が得られている。研究代表者は、2013年に日本クリティカルケア看護学会主催のJane Buckle博士による研修セミナーに参加し、Mテクニックの教授を受けた。その後、2015年6月にMテクニックプラティクショナー国際認定を受け、健常ボランティアやICUに入室している患者を研究対象に検証をすすめてきた。本研究の目的は、ICUに勤務する看護師への昼休憩時間を用いたMテクニックによるリラクセーション効果を検証することである。
【方法】
対象者は、A病院のICUに勤務する看護師であり、Mテクニック介入群と非介入群に分け、昼休憩時間に無臭のキャリアオイルを使用し、約10分間のMテクニックを研究代表者が実施した。介入群はベッドに臥床してもらい、両上腕から肘関節にかけて計10分間Mテクニックを実施した。一方、非介入群には臥床のみで10分間過ごしてもらった。リラクセーション効果は、唾液アミラーゼ値の変化および心拍変動解析を用いて副交感神経系(以下、HF)の変化を比較した、主観的評価は介入前後の自由記述内容とした。統計学的処理は、SPSSVer.24 for Windowsを用いて2群間の介入前後のデータを検定した。心拍変動は、AC-301Aアクティブトレーサを用いて心拍数(R-R間隔)を記録し、専用解析ソフトMemCalcを用いて解析を行った(GMS社製)。本研究は、研究協力病院および研究代表者の所属大学および研究協力病院の研究倫理員会の承認を得、対象者に事前に十分な説明と文書で同意を得た上で実施した。介入については、事前にパッチテストを行い、皮膚異常や気分不良がないことを確認し、介入当日も異常の早期発見に努めた。
【結果】
研究対象は23名。介入群10名(男性1名)、非介入群13名(男性1名)、年齢は20歳代~40歳代で両群ともに30~40歳代が最も多く、約80%を占めた。両群の看護師経験年数やICU勤続年数に差はなかった。マン・ホイットニ検定を実施したところ、Mテクニック前後の唾液アミラーゼ値には有意な差はなかった。介入前後のHF中央値と四分位偏差については、介入群は介入前97.3(54.5)msec2、介入後201.6(176)msec2、非介入群は前104.6(60.0)msec2、後193.3(126.5)msec2であり、介入群にてMテクニック後にHFが有意に高くなる傾向を示した(p<0.05)。介入後の主観的評価については、「リラックスできた」、「朝から忙しかったので癒された」、「気分が落ち着いて、次の勤務に取り組めた」、「マッサージは弱く感じたが、リラックスできた」、「午前中の業務の振り返り、午後からのことなど考えることができた」、「自分の好みの香りがあるといい」等であった。
【考察】
ICUで勤務する看護師は重症患者の看護という役割を担うため、常に緊張を強いられた状態にあることが多い。そのような中において休憩時間を利用したMテクニックは、看護師の勤務中の思考整理や癒しにつながる可能性が示された。