第14回日本クリティカルケア看護学会学術集会

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一般演題(示説)

一般演題(示説) P2群
看護教育

Sun. Jul 1, 2018 9:15 AM - 9:45 AM ポスター会場 (1階 展示ホール)

座長:今井 亮(文京学院大学 保健医療技術学部看護学科)

[P2-2] 看護基礎教育におけるクリティカルケア看護の導入(その2)‐高性能シミュレータを用いたBLS演習の効果‐

大滝 周, 大木 友美 (昭和大学保健医療学部看護学科)

【目的】
 平成16年より一般市民が自動体外式除細動器を使用することが認められて以来、AEDを用いた一次救命処置(Basic Life Support:以下、BLSとする)の普及が社会的取り組みとして進められている。医療系大学では、生命を守る医療従事者には欠くことのできない技術としてBLSに関する講義や演習が行われており、その課題として、質の高いBLS技術獲得することが挙げられている。看護系A大学では、1年次全員がBLS演習後、演習する機会がなかったが、今年度より4年次のクリティカルケア看護の履修者に対し講義内でBLS演習の導入を行った。
 そこで本研究は、看護学生が感じた高性能シミュレータを用いたBLS演習の効果について調査したので報告する。
【方法】
 対象は、4年次クリティカルケア看護を選択した学生50とした。方法はBLS演習終了後に自記式無記名式質問紙調査を行った。質問紙は、BLS演習の効果を「とても効果的だった:以下、項目1」「効果的だった:以下、項目2」「効果的ではなかった:以下、項目3」「全く効果的ではなかった:以下、項目4」の4件法で尋ね、その理由を自由記述で問うた。4件法は単純集計を行った。自由記述で得られた記述をテキストと位置づけ、テキストデータの中から言葉同士の関係性や規則を見つける手法であるテキストマイニング分析を行った。NTT数理システムテキストマニング6.03を用いて、単語頻度解析、ことばネットワークの手法で分析した。倫理的配慮として、参加は自由意思であること、参加の有無が学業成績に影響しないことなどを説明し同意が得られた者を対象とした。
【結果】
 質問紙は、50名中44名(回答率88%)の学生の回答があった。単純集計の結果は、「項目1:29名(65.9%)」「項目2:11名(25.0%)」「項目3:4名(9.1%)」「項目4:0名」であった。否定的な意味を示す項目3が4名と分析対象が少ないため、肯定的な意味を示す項目1、2と回答した40名の理由のテキストを分析対象とした。テキストの基本情報は、総文章数45、平均文章長(文字数)35.1、延べ単語数292、単語種別数133であった。テキスト中で、どのような単語が何回出現するかカウントすることができる単語頻度解析の設定は、抽出品詞を名詞・動詞・形容詞・形容動詞とした。その結果、<良い>15回、<行う>13回、<BLS>10回の順であった。言葉の共起関係を確認するために、ことばネットワークの分析を行った。設定(共起ルール)は抽出品詞を話題一般)、文章単位とした。その結果、<良い>と<胸骨圧迫><位置><深さ><復習+できる><シミュレータ>など、<行う>と<久しぶり><確認>など複雑な共起関係が見られた。その他に、<演習>と<効果>、<行う+できる>と<リアル>に共起関係が見られた。
 項目3の理由(抜粋)として、「自分では深さを示すモニターが見えなかった。」「どれくらい圧迫の深さが足りているか分からなかった。」などが挙げられた。
【考察】
 9.1%の学生が「効果的でなかった」と回答したが、その理由はモニターが見えなかったなどBLS演習での課題であり、BLS演習の実施に対することではなかったと言える。一方、BLSを演習した看護学生の90.9%が肯定的な意味を示す「とても効果的だった」「効果的だった」と回答しており、多くの学生がBLS演習を行い効果的であったと感じていたことが明らかとなった。その理由として、<BLS>演習で<胸骨圧迫>の<位置>や<深さ>を確認できたことや<復習+できる>と感じていたことが推察される。また、<シミュレータ>を用い<リアル>に行うことで<良い>や<効果的>な<演習>だと感じていたことが明らかとなった。