第14回日本クリティカルケア看護学会学術集会

講演情報

一般演題(示説)

一般演題(示説) P4群
災害看護・その他

2018年7月1日(日) 10:25 〜 11:00 ポスター会場 (1階 展示ホール)

座長:赤池 麻奈美(東京女子医科大学東医療センター 看護部 救命ICU)

[P4-2] A病院における急変時対応の現状と課題~意識調査の結果から見えたもの~

奥村 恵, 山岡 恭子 (ベルランド総合病院)

【目的】A病院は、高度急性期病院として年間7,000件の救急搬送があり、救急患者の約22%が一般病床に入院している。病状が不安定な場合や治療や疾患が確定できないまま入院になることもあり、緊急入院患者の病態や症状をいち早く捉え速やかに対応する事が求められる。緊急招集体制も確立されており、年間約20件の要請がある。しかし、病院内心停止を未然に防ぐことが重要であり、急変させない看護の実践力を高めることを目的とし、RRS(Rapid Response System)発足準備のため現状調査を行い検討した。【方法】院内看護部、経験年数2年目以上の保健師、助産師、看護師543名とし、平成29年5月20日~5月31日に質問用紙を用いて15項目の調査を行った。倫理的配慮は、個人が特定できないよう無記名とし、アンケートの提出をもって同意とした。【結果】質問紙回収率は、95.3%、内訳は看護師87%、助産師8%、保健師3%、准看護師1%記載なし1%であった。院内急変の遭遇の割合は「あり」が83%、「なし」は15%であった。また、特殊病棟を除く一般病棟の急変遭遇は87%であった。そのうち経験年数別では3年目以上での急変遭遇率は91%であった。実際に心肺蘇生した割合は「あり」が51%、「なし」は47%とであった。3年目以上では60%が実施していた。急変時対応の自信が「あり」は10%、「なし」は88%であった。また、一般病棟の3年目以上では「あり」は6%、「なし」は90%であった。急変時の自信がない理由では不安や怖いが多かった。急変時自信がないと回答した88%のうち研修参加率は84%であった。RRSの認知度は69%が知らないと回答した。【考察】A病院看護部の急変遭遇の割合は8割以上を占め、約半数のスタッフが実際に心肺蘇生の経験を有していた。しかし、急変対応は8割以上で、自信がなく、特にチームリーダーを担う3年目以上では9割で自信がないことが明らかになった。急変時対応の研修を受講していても予期せぬ急変や状態変化が想定できず知識を行動に繋げることができないことや、日常的に実践していない急変時の行動を成功体験としてつなげる機会がなく対応に自信が持てないことが要因として考えられる。さらにA病院は、高度急性期病院であり、一般病棟にも重症度が高い病態や状態の不安定な患者が多く入院する。その為、急変遭遇率も高いことから、予期せぬ急変を回避するためにRRSの運用が必須であり、患者の状態変化に気付くことができる看護師の臨床判断能力やフィジカルアセスメント能力の向上が重要であると考える。急変時対応の知識を行動レベルに落とし込むために、さまざまな状況を想定し、臨場感のある環境設定したシミュレーションの企画と行動の振り返りを実施し、急変時対応に自信がもてる看護師の育成が必要である。【結論】現場の看護師が相談・活用できる看護師を主体としたRRSの運用を検討するとともに看護師の臨床判断能力と急変時対応力向上に対する教育の強化が課題である。