第14回日本クリティカルケア看護学会学術集会

講演情報

パネルディスカッション

パネルディスカッション2
重症呼吸不全に対するECMO治療のノウハウとチームアプローチ

2018年7月1日(日) 14:50 〜 16:30 第2会場 (5階 小ホール)

座長:渕本 雅昭(東邦大学医療センター大森病院 救命救急センター), 座長:市場 晋吾(日本医科大学付属病院 外科系集中治療科)

[PD2-3] ECMO装着患者に対するリハビリテーション

堀部 達也1, 小谷 透2 (1.東京女子医科大学 リハビリテーション部, 2.昭和大学医学部麻酔科学講座)

ARDSの概念が報告されてから半世紀が経過し, 医学の進歩と共にARDSの治療法も大幅に進歩した. 革新する治療技術は ICUに入室する重症疾患の生存率を大幅に改善したが, その生存者には長期間継続する身体機能障害・精神心理機能障害などの合併症, さらに家族をも含めた生活の質 (QOL) の低下が生じることがPost Intensive Care Syndrome (以下PICS) として報告されている.
2009年に報告されたCESAR trialにおいてARDSに対するExtracorporeal Membrane Oxygenation装置 (以下ECMO) の有用性が証明され本邦でも普及し始めている. 生存率の改善と共にPICSの様な医原性の影響を最小限に抑制するため鎮痛・鎮静の管理, 人工呼吸器からの早期離脱, ケアへの家族の参加などの取り組みと同時に, ICUにおけるリハビリテーション (以下リハビリ) は, ECMO患者においても身体機能の維持のみならず, QOL維持のために必要かつ重要である. しかしECMO患者へのリハビリは. 疾患の重症度, Femoral Catheter挿入などデバイスの理解やECMO中の超急性期リハビリ介入への理解が医療チームで共有されていない (早期リハビリの文化の欠如) など様々なバリアが存在する.
今回はこれまで公表されている論文のレビューに加え, 我々が経験したECMO症例を振り返り, バリアへの対応を含めICU入室中であっても重症患者の生活を止めない努力ついてお話ししたい.