第14回日本クリティカルケア看護学会学術集会

講演情報

シンポジウム

シンポジウム4
急性期医療から在宅へと安全に繋ぐ地域連携を考える

2018年7月1日(日) 10:15 〜 12:15 第1会場 (5階 大ホール)

座長:三浦 稚郁子(公益社団法人 地域医療振興協会), 座長:中谷 茂子(医療法人マックシール 巽病院 看護副院長)

[S4-3] 地域包括ケアシステムにおける家族支援

加藤 智子 (聖隷浜松病院 救命救急センター ER)

急性期病院において、在院日数が短縮化され、退院調整看護師の専従化が進み、在宅医療・療養の推進が強化されている。少子高齢化が進むわが国において、これからの保健医療体制の変化も予測されると考えられる。医療では、医療技術の進歩によって「治す医療」から「治し支える医療」へと進化している。近年では、地域包括ケアシステムのもと「医療は医療機関である病院、保健は地域」という従来の区分が成立しなくなっている現状である。医療・看護・介護・世話といったケアの境目も曖昧化し、さらにケアは専門職や家族だけが担うものでもなくなり、地域社会の人々が多様な形でケアし合うことが求められるようになってきた。このように人々は様々な場で、多様な医療・看護・介護・ケアを日常生活に組み込みながら生活する構造に変化している。そして人生の最終段階を様々な場所で迎えるようになってきている。高齢者だけなく、小児の救命率の向上と共に在宅医療の推進によって、医療的ケアを抱えながら療養生活することが当然の時代になってきている。
このような時代の変化の中で、私達看護師は患者の安全・安心を支えるために「患者を含めた家族」を援助対象として看護実践し、関わる場面に多く遭遇する。看護は個人・家族・地域を対象とする事を前提としていることから、看護師には家族に対するケアも実践するという重要な使命があると考えられている。具体的には、家族の尊厳を守り関係性を構築することや、根拠に基づき健康問題を抱える患者を含めた家族をアセスメントし、必要な看護ケアを計画する。そして健康問題を有する家族員及びその家族に対して適切な看護ケアを提供することや医療チームと協力して家族を支援することなどを行っているのではないだろうか。現代の家族は多様な価値観を持ち、家族の構造、家族関係の質、家族生活の共同性の選択など様々である。私達看護師は、このような現代の家族の特性を理解し、家族の力をエンパワーメントしていくことが重要なのではないかと考える。
シンポジウムでは、クリティカルケア領域から療養病床、そして地域への連携において、現代の多様な価値観や選択性をもつ家族へどのような支援が必要なのかを問い、困難な状況を少しでも減らして、患者を含む家族にとって安全・安心を支えるケアに焦点を当てて発言したいと考えている。