[S6-2] アドバンス・ケア・プランニング 患者の意向を尊重したケアの実践のために
アドバンス・ケア・プランニング(Advance Care Planning:以下ACPと略)とは、「患者・家族・医療従事者の話し合いを通じて、患者の価値観を明らかにし、これからの治療・ケアの目標や選好を明確にするプロセスのこと」を指す。ACPは緩和ケアと終末期ケアの質を向上させるものとして、英国連邦を中心とした世界各国で注目され、その臨床実践が進んできている。これらのモデルでは、患者さんがどんな人生を生き、どんなことを大切にしていて、何を希望しているかを、患者―患者が信頼する本人の代わりとなる者(家族)―医療従事者があらかじめ話し合って、診療録に残すというプロセスを重要視しており、患者・家族アウトカムを改善することが近年明らかとなってきている。(患者の希望が尊重した終末期医療が実践され、遺族の抑うつが減少する:Detering K.BMJ 2010)これらの取り組みは、クリティカルケアに従事する医療従事者によって行われていることも少なくない。
わが国でも、患者の意向を尊重した医療を実践するためにACPの普及が望まれており、厚生労働省の委託事業である「人生の最終段階における医療体制整備事業」が実施され、独自のACPプログラムであるE-FIELDプログラムに基づいたACPの啓発普及がなされている。ACP実践の要点は、1)侵襲的でないコミュニケーションを心がけること、2)代理意思決定者をまず選定し、代理意思決定者とともに意思決定を進めること、3)アドバンス・ディレクティブやDNRなどの書類や決まりにとらわれず、患者の価値や決断の理由を探索すること、の3点である。本講演では同プログラムに基づいてACPの基礎と実践を概説し、クリティカルケア領域での応用についても述べる。
わが国でも、患者の意向を尊重した医療を実践するためにACPの普及が望まれており、厚生労働省の委託事業である「人生の最終段階における医療体制整備事業」が実施され、独自のACPプログラムであるE-FIELDプログラムに基づいたACPの啓発普及がなされている。ACP実践の要点は、1)侵襲的でないコミュニケーションを心がけること、2)代理意思決定者をまず選定し、代理意思決定者とともに意思決定を進めること、3)アドバンス・ディレクティブやDNRなどの書類や決まりにとらわれず、患者の価値や決断の理由を探索すること、の3点である。本講演では同プログラムに基づいてACPの基礎と実践を概説し、クリティカルケア領域での応用についても述べる。