11:00 AM - 11:10 AM
[O1-3] O1-3
Keywords:看護実践、困難、尺度開発
【背景】
クリティカルケア看護に携わる看護師は、緊迫した状況下で患者の生命に直結する看護実践や患者の家族との関わりに対して困難が生じていると推察される。しかし、クリティカルケア看護における看護実践に対する困難についての全容は明らかにされていない。
【目的】
クリティカルケア看護における看護実践に対する困難尺度を開発し、信頼性と妥当性を検討するとともに、クリティカルケア看護に携わる看護師の看護実践に対する困難を構成する因子の構造を明らかにする。
【方法】
Walker & Avantの概念分析の手法を参考にして、「クリティカルケア看護における看護実践に対する困難」の定義と属性を明確にした。尺度項目を作成するにあたり、文献検討および急性・重症患者看護専門看護師(以下CNS)から臨床の現状について話を聞くことで広くアイテムを集めた。集めたアイテムから仮の尺度項目を作成した。仮の尺度項目について、専門家会議(CNS で構成)で内容的妥当性を検討するとともに、ICU、CCU、救命救急センターに勤務している看護師またはこれらの場所で勤務経験のある大学院生計8名に項目に回答してもらい、回答しづらい項目などないか意見を求め、検討を重ねた。その結果、尺度項目は28項目となった。調査は、乱数表を用いて救急医療体制を有する200床以上の病院を選定し、そこで働く役職に就いていない看護師を対象とした。データは、探索的因子分析にて解析を行い、因子負荷量0.4未満を目安に項目を削除した。信頼性については、内的一貫性を示すクロンバックα係数を算出し、α係数0.8を判断基準とした。統計解析ソフトはSPSS Statistics ver.25を使用した。倫理的な配慮として、対象者へ研究参加は自由意思であること、個人が特定されることはないこと、参加の有無による不利益は生じないこと、調査で得られたデータは研究以外の目的で使用しないこと、データの保管は厳重にすることを文書で説明するとともに、回答の諾否について問う項目を設けて回答の同意を確認した。回答後の質問紙は返信用封筒にて返送してもらった。なお、本研究は、研究者が所属する大学の倫理審査委員会の承認を得た上で実施した。
【結果】
配布数640部のうち253部回収した(回収率39.5%)。このうち201部を解析対象とした。対象者は女性が168名(83.6%)で、平均年齢は31.77歳(SD 6.11歳)、臨床経験年数の平均は9年9か月(SD 5年7か月)、現在の病棟での経験年数の平均は3年9か月(SD 3年0か月)だった。探索的因子分析(一般化最小二乗法、プロマックス回転)を行った結果、5因子19項目となり、因子を構成する項目の内容から因子を解釈し、第1因子【患者や家族の状態・状況の変化に応じて最適な看護を実践する難しさ】、第2因子【苦悩のなかにいる家族に対する関わりの難しさ】、第3因子【患者・家族と意思疎通を図る難しさ】、第4因子【看護実践の意味を捉えきれないもどかしさ】、第5因子【1つ1つの看護実践に対する重責】と因子名をつけた。各因子のクロンバックα係数は0.7以上だった。
【考察】
本尺度の信頼性についてはクロンバックα係数の値から、信頼性を有することが確認できた。妥当性については、内容的妥当性、構成概念妥当性について検討し、その結果から妥当性を有することが確認できた。探索的因子分析で明らかになった因子の構造から、クリティカルケア看護に携わる看護師の看護実践に対する困難を把握するツールとしての活用が期待できる尺度であると考えた。
クリティカルケア看護に携わる看護師は、緊迫した状況下で患者の生命に直結する看護実践や患者の家族との関わりに対して困難が生じていると推察される。しかし、クリティカルケア看護における看護実践に対する困難についての全容は明らかにされていない。
【目的】
クリティカルケア看護における看護実践に対する困難尺度を開発し、信頼性と妥当性を検討するとともに、クリティカルケア看護に携わる看護師の看護実践に対する困難を構成する因子の構造を明らかにする。
【方法】
Walker & Avantの概念分析の手法を参考にして、「クリティカルケア看護における看護実践に対する困難」の定義と属性を明確にした。尺度項目を作成するにあたり、文献検討および急性・重症患者看護専門看護師(以下CNS)から臨床の現状について話を聞くことで広くアイテムを集めた。集めたアイテムから仮の尺度項目を作成した。仮の尺度項目について、専門家会議(CNS で構成)で内容的妥当性を検討するとともに、ICU、CCU、救命救急センターに勤務している看護師またはこれらの場所で勤務経験のある大学院生計8名に項目に回答してもらい、回答しづらい項目などないか意見を求め、検討を重ねた。その結果、尺度項目は28項目となった。調査は、乱数表を用いて救急医療体制を有する200床以上の病院を選定し、そこで働く役職に就いていない看護師を対象とした。データは、探索的因子分析にて解析を行い、因子負荷量0.4未満を目安に項目を削除した。信頼性については、内的一貫性を示すクロンバックα係数を算出し、α係数0.8を判断基準とした。統計解析ソフトはSPSS Statistics ver.25を使用した。倫理的な配慮として、対象者へ研究参加は自由意思であること、個人が特定されることはないこと、参加の有無による不利益は生じないこと、調査で得られたデータは研究以外の目的で使用しないこと、データの保管は厳重にすることを文書で説明するとともに、回答の諾否について問う項目を設けて回答の同意を確認した。回答後の質問紙は返信用封筒にて返送してもらった。なお、本研究は、研究者が所属する大学の倫理審査委員会の承認を得た上で実施した。
【結果】
配布数640部のうち253部回収した(回収率39.5%)。このうち201部を解析対象とした。対象者は女性が168名(83.6%)で、平均年齢は31.77歳(SD 6.11歳)、臨床経験年数の平均は9年9か月(SD 5年7か月)、現在の病棟での経験年数の平均は3年9か月(SD 3年0か月)だった。探索的因子分析(一般化最小二乗法、プロマックス回転)を行った結果、5因子19項目となり、因子を構成する項目の内容から因子を解釈し、第1因子【患者や家族の状態・状況の変化に応じて最適な看護を実践する難しさ】、第2因子【苦悩のなかにいる家族に対する関わりの難しさ】、第3因子【患者・家族と意思疎通を図る難しさ】、第4因子【看護実践の意味を捉えきれないもどかしさ】、第5因子【1つ1つの看護実践に対する重責】と因子名をつけた。各因子のクロンバックα係数は0.7以上だった。
【考察】
本尺度の信頼性についてはクロンバックα係数の値から、信頼性を有することが確認できた。妥当性については、内容的妥当性、構成概念妥当性について検討し、その結果から妥当性を有することが確認できた。探索的因子分析で明らかになった因子の構造から、クリティカルケア看護に携わる看護師の看護実践に対する困難を把握するツールとしての活用が期待できる尺度であると考えた。