The 15th Annual Meeting of Japan Academy of Critical Care Nursing

Presentation information

Oral presentation

[O5] 鎮痛・鎮静・せん妄1

Sat. Jun 15, 2019 3:40 PM - 4:40 PM 第3会場 (3F 小会議室31)

座長:神田 直樹(北海道医療大学)

3:50 PM - 4:00 PM

[O5-2] O5-2

○西村 基記2、田野 将尊1、竹内 朋子1 (1. 東京医療保健大学大学院看護学研究科、2. 独立行政法人国立病院機構北海道医療センター)

Keywords:疼痛評価、ICU、新人看護師、人工呼吸器

【目的】
客観的疼痛評価スケールであるBehavioral Pain Scale(以下BPS)とCritical Care Pain Observation Tool(以下CPOT)を用いて新人看護師が人工呼吸器装着患者の疼痛評価を行なった場合、どちらの評価が患者の主観的疼痛評価に近いかを明らかにする。
【方法】
対象看護師は、関東地区3施設のICUに勤務するICU経験が3年未満の看護師(以下新人看護師)21名とした。対象患者は、20歳以上のICUに入室している術後24時間以内の人工呼吸器装着患者(以下ICU患者)とした。新人看護師に無記名自記式の調査用紙を用いてICU患者1名の疼痛をBPSとCPOTで評価してもらった。ICU患者にはNumerical Rating Scale(以下NRS)を用いて評価してもらった。分析は、各項目の基本統計量を算出し、次にNRSに対するCPOTとBPSのSpearman’ρを算出した(有意水準5%)。
【倫理的配慮】
本研究は、東京医療保健大学ヒトに関する研究倫理委員会および対象施設の倫理委員会の承認を得て実施した。対象者には口頭および文章で研究内容を説明し同意を得た。また、いつでも同意撤回が可能である事、回答により不利益が被らない事を説明した。
【結果】
CPOT合計点とNRSに有意な相関はみられなかった。CPOTの下位項目では、「表情」および「身体運動」とNRSに有意な正の相関を認めた。「筋緊張」および「人工呼吸器との順応性」とNRSには有意な相関はみられなかった。BPS合計点および下位項目とNRSに有意な相関はみられなかった(表)。
【考察】
CPOT「表情」と「身体運動」の項目は、人工呼吸器管理以外のICU患者にも日常的に観察している項目である。「表情」は眼球や口角の筋肉の動き、顔の動きなど詳細な状態の記載があり、「身体運動」は状態の説明が目的動作などで記載され具体的であり、ICU患者の主観的な疼痛評価に近い正確な評価を行うことができたと考えられる。「筋緊張」では抵抗の判断が評価者により異なる可能性があり、「人工呼吸器の順応性」では咳込みや人工呼吸器への抵抗を判断するには人工呼吸器管理の経験が必要と考えられる。
一方、BPSは合計点と各下位項目全てに有意な相関を認めなかった。新人看護師にとってBPSの項目は簡易的であり、状態の説明が少ない可能性があると考える。
本研究の結果より、新人看護師が人工呼吸器装着患者の疼痛を評価する場合、ICU患者の疼痛自己評価に近似した評価を行うためには客観的疼痛評価スケールCPOTが使用しやすい事が示唆された。
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