9:00 AM - 9:10 AM
[O7-1] O7-1
Keywords:看護記録 、急変
【目的】
T大学病院A病棟では、看護実践能力の向上を目指し、平成27年度よりスタッフ全員で予定外特定集中治療室(以下ICUとする)へ転出となった症例を振り返る急変時カンファレンスを行っている。急変時症例を振り返ることは、重症化する前後の看護師個々の観察・アセスメントの向上に向けた自己学習をする貴重な機会となっている。しかし、急変時の看護記録量は少なく、振り返りに十分活用できないことから、急変時に何を観察し、記録しているのか実態を調査したいと考えた。そこで、本研究はA病棟における急変時の看護記録の実態を明らかにすることを目的とした。
【方法】
期間:平成27年4月~平成28年3月
対象:平成27年~28年に消化器外科A病棟から予定外ICU転出患者16名の看護記録
方法:平成27年~平成28年の予定外ICU転出患者16名の急変24時間前の看護記録から言語を抽出。その後、類似性のある言語をコード化、カテゴリー分類し、内容分析を行った。
本研究は、当院の倫理委員会の承認を得て実施した。患者情報の保護に努め、記録記載者が特定されないよう配慮した。
【結果】
T大学病院A病棟の平成27年、28年の手術件数はそれぞれ年間500件であった。予定外ICU転出件数は、平成27年11件、内訳は呼吸不全8件、敗血症2件、出血性ショック1件であった。平成28年4件、内訳は心不全1件、敗血症3件であった。急変時の看護記録から抽出されたコード数は462である。カテゴリーは、脳神経、呼吸、循環、消化器の4つに分類された。抽出されたコード数は、「循環」「呼吸」「消化器」「脳神経」の順であった。「循環」に関するコード数は203で、心拍数58、血圧57、水分出納バランス40、体温28、末梢循環9、心電図波形5、レントゲン所見3、その他3であった。「呼吸」に関するコード数は156で、酸素飽和度73、気道内分泌物25、呼吸音18、呼吸回数17、呼吸様式10、呼吸苦7、血液ガス値3、咳嗽2であった。「消化器」に関するコード数は55で、消化器症状26、排便16、創部6、腹部所見3、その他4であった。「脳神経」に関するコード数は48で、意識レベル35、瞳孔所見9、その他4であった。急変時前の記録を8時間毎にさかのぼると、急変時から急変8時間前の記録が最も多かった。しかし、「循環」は急変24時間前より記載されていた。
【考察】
「呼吸」「循環」のコード数が他コードよりも多かったのは、予定外ICU転出要因である呼吸不全、敗血症の観察と一致していたからだと考える。コードが多い酸素飽和度、心拍数、血圧等は、医療機器で測定し数値化されるものである。記載が多いのは、基準値が定められているため、正常か異常か判断しやすいのではないかと考える。反対に、コードが少ないレントゲン所見や心電図波形等は、知識と判断が必要とされる。そのため、看護師は病態に関連した知識不足により、観察に至らず、また観察はしたが判断に迷うため、記載が少ないのではないかと思われる。急変24時間前より循環に関する記載がされていたのは、急変時カンファレンスによる教育的介入により、敗血症のメカニズムを通してqSOFAを含めた振り返りを行なったことが一因と考えられる。
T大学病院A病棟では、看護実践能力の向上を目指し、平成27年度よりスタッフ全員で予定外特定集中治療室(以下ICUとする)へ転出となった症例を振り返る急変時カンファレンスを行っている。急変時症例を振り返ることは、重症化する前後の看護師個々の観察・アセスメントの向上に向けた自己学習をする貴重な機会となっている。しかし、急変時の看護記録量は少なく、振り返りに十分活用できないことから、急変時に何を観察し、記録しているのか実態を調査したいと考えた。そこで、本研究はA病棟における急変時の看護記録の実態を明らかにすることを目的とした。
【方法】
期間:平成27年4月~平成28年3月
対象:平成27年~28年に消化器外科A病棟から予定外ICU転出患者16名の看護記録
方法:平成27年~平成28年の予定外ICU転出患者16名の急変24時間前の看護記録から言語を抽出。その後、類似性のある言語をコード化、カテゴリー分類し、内容分析を行った。
本研究は、当院の倫理委員会の承認を得て実施した。患者情報の保護に努め、記録記載者が特定されないよう配慮した。
【結果】
T大学病院A病棟の平成27年、28年の手術件数はそれぞれ年間500件であった。予定外ICU転出件数は、平成27年11件、内訳は呼吸不全8件、敗血症2件、出血性ショック1件であった。平成28年4件、内訳は心不全1件、敗血症3件であった。急変時の看護記録から抽出されたコード数は462である。カテゴリーは、脳神経、呼吸、循環、消化器の4つに分類された。抽出されたコード数は、「循環」「呼吸」「消化器」「脳神経」の順であった。「循環」に関するコード数は203で、心拍数58、血圧57、水分出納バランス40、体温28、末梢循環9、心電図波形5、レントゲン所見3、その他3であった。「呼吸」に関するコード数は156で、酸素飽和度73、気道内分泌物25、呼吸音18、呼吸回数17、呼吸様式10、呼吸苦7、血液ガス値3、咳嗽2であった。「消化器」に関するコード数は55で、消化器症状26、排便16、創部6、腹部所見3、その他4であった。「脳神経」に関するコード数は48で、意識レベル35、瞳孔所見9、その他4であった。急変時前の記録を8時間毎にさかのぼると、急変時から急変8時間前の記録が最も多かった。しかし、「循環」は急変24時間前より記載されていた。
【考察】
「呼吸」「循環」のコード数が他コードよりも多かったのは、予定外ICU転出要因である呼吸不全、敗血症の観察と一致していたからだと考える。コードが多い酸素飽和度、心拍数、血圧等は、医療機器で測定し数値化されるものである。記載が多いのは、基準値が定められているため、正常か異常か判断しやすいのではないかと考える。反対に、コードが少ないレントゲン所見や心電図波形等は、知識と判断が必要とされる。そのため、看護師は病態に関連した知識不足により、観察に至らず、また観察はしたが判断に迷うため、記載が少ないのではないかと思われる。急変24時間前より循環に関する記載がされていたのは、急変時カンファレンスによる教育的介入により、敗血症のメカニズムを通してqSOFAを含めた振り返りを行なったことが一因と考えられる。