第15回日本クリティカルケア看護学会学術集会

講演情報

パネルディスカッション

[PD1] 重症患者の生活支援“安楽”を守るチャレンジ

2019年6月15日(土) 10:40 〜 11:50 第2会場 (3F 国際会議室)

座長:露木 菜緒(国際医療福祉大学成田病院準備事務局)、後藤 順一(河北総合病院)

11:10 〜 11:25

[PD1-3] 救急初療におけるComfort Careと今後の展望を考える

○合原 則隆1 (1. 久留米大学病院高度救命救急センター)

キーワード:救急初療、安楽、疼痛対策

 A大学病院高度救命救急センターは、福岡県の南部に位置し、特定機能病院として、地域の中核を担っている。2002年にドクターヘリを全国で4番目に導入し、2016年には、久留米広域消防本部の委託をうけて、ワークステーションドクターカーを導入。年間1000件前後の救急患者の受け入れを行なっている。看護学大事典において、安楽(Comfort)とは「身体的・精神的に苦痛がなく、快適な状態、居心地の良さ、不自由でないこと、気楽なこと、苦悩や不安がないこと」と述べられている。しかし、救急患者の場合、突然のけがや不快な症状の出現、不慮の事故などで、大きな不安と疼痛や恐怖を感じながら来院されることが多いのに加え、救命を優先することから、新たに疼痛を伴う治療、処置が行われる場合もある。そのような状況下であることから、安楽な状態は、ほとんど認められないと考える。疼痛が持続することは、主要なストレス要因の1つとなり、せん妄の出現や人工呼吸器離脱を遅らせることなど、患者には悪影響となることから、近年集中治療の現場では、2014年に発表された「日本版・集中治療室における成人重症患者に対する痛み・不穏・せん妄管理のための臨床ガイドライン」を基に、鎮痛優先の鎮静が推奨され、実施が行なわれている。しかし、初療では、正確な所見や症状がとりにくくなることや、鎮痛薬を使用することで、交感神経の緊張が低下し、血圧低下や呼吸抑制などが懸念されることから、国内においては、初療における鎮痛薬使用の明確な基準がないのが現状である。
 そのような、初療の現場において、2018年1月から6ヶ月間当院に搬入された救急患者の現状を述べ、初療におけるComfortCareとして、特に、鎮痛対策はどうあるべきか、また、そのための課題について、文献を用いて考察し報告するとともに、皆様と意見交換を行なっていきたいと考えます。