The 15th Annual Meeting of Japan Academy of Critical Care Nursing

Presentation information

Oral presentation

[PD6] 重症患者の生活支援“つなぎ目なくケアをつなぐ”チャレンジ

Sun. Jun 16, 2019 1:10 PM - 2:20 PM 第4会場 (1F 中会議室)

座長:佐藤 冨美子(東北大学大学院医学系研究科)、比田井 理恵(千葉県救急医療センター)

1:10 PM - 1:25 PM

[PD6-1] PD6-1

○福澤 知子1、藤野 智子1 (1. 聖マリアンナ医科大学病院看護部)

Keywords:病棟ラウンド、専門看護師・認定看護師活動

「こんにちは クリティカルケアナースラウンドです。」平日日中、急性・重症患者看護専門看護師、集中ケア認定、救急看護認定看護師、手術看護認定看護師が、各病棟をクリティカルケアナースラウンド(CCNR)で訪問します。CCNRは、病院内で発生する予期せぬ急変患者を減少できることを目的に始まった活動です。
 当院では1999年より、不定期に集中ケア認定看護師2名が実践活動として病棟の不定期ラウンドを開始し、2014年8月よりCCNRとして定期ラウンドに発展しました。
 当院は1208床 の大学病院で、診療科は31科、病棟数は26病棟を有しています。2005年より、コードブルー体制、2010年よりRapid Response System(RRS)を開始しています。CCNRは、これらの院内システムと情報交換や連携しながら、専門看護師・認定看護師による独自の院内システムとして行ってきました。
 CCNRでは、各病棟スタッフからの依頼や、ラウンドを通して病棟スタッフからの情報提供をもとに、患者の状態を確認していきます。そして部署へのフィードバックやカルテ記録を行い継続フォローの体制をとります。
 CCNR開始当初は、各部署で「重症者」「対応に困っている患者」を確認して対応しました。また、重症化する前の徴候を発見して介入するため、SIRSの基準として「発熱」からピックアップし、患者の情報提供をしてもらいました。しかし、この時点では、部署看護師の病態アセスメント、察知力、情報提供が頼りで、重症化する前の徴候をとらえ、急変兆候のある患者の選定を行うには限界がありました。各病棟からの情報提供に頼らざるを得ない状況に課題を感じていました。
 2012年に英国で開発された早期警告スコア(NEWS:National Early Warning Score)は、近年日本でも多く活用されています。早期警告スコアは患者さんのバイタルサインを点数化し、状態変化を知らせるツールで、これを用いることで、入院患者のリスク層別化が可能で、入院患者の病状変化の早期発見に有効とされています。呼吸数、経皮的動脈血酸素飽和度、酸素投与の有無、体温、収縮期血圧、心拍数、意識レベルの7項目を指標とし、合計点によって、低リスク、中等度リスク、高リスクと3段階で評価されます。2018年度から当院でも電子カルテに情報を入力すると自動計算される仕組みになっています。
 早期警告スコア は、CCNRにも活用しています。病棟看護師からの情報提供に加え、早期警告スコアの評価を電子カルテからピックアップできます。CCNRにこのシステムを用い始めてから、定期ラウンド回数も増やしました。各病棟からの情報提供だけではなく客観的な基準に基づいた患者選定を加え、臨床経験に左右されず、一定の質でラウンドを行うことがメリットとして挙げられると考えています。
 早期警告スコアを活用するには、必要な情報、バイタルサインを電子カルテに確実に入力することが必要です。観察項目として呼吸回数観察が問題視されていますが、呼吸回数観察と測定値の入力は当院でも課題と感じています。また、当院の一般病棟では重症患者の記録は紙面記録の為、重症患者には早期警告スコアの自動計算が行えません。そのことからも、早期警告スコアの活用と共に病棟での情報収集、各部署での学習会や事例検討への参加、呼吸回数観察の重要性の指導は必要と感じています。今後、当院でもCCOT:Critical Care Outreach Teamの体制も検討されている為、CCNRとの連携や協働も考えていかなければなりません。