1:55 PM - 2:10 PM
[PD6-4] PD6-4
Keywords:パネル
現場でいち早く「何かおかしい」を察知し、適切に対処していくことは、患者の転帰を大きく左右する重要なファクターである。昨今の医療現場で発生している医療過誤、医療事故の事例を振り返ると、「何かおかしい」をもっと早く察知できていれば、「そういえば、あの時の何かおかしかった」をもっと重要視しておけば、重篤化を防ぎ得たものが少なくないことに気付く。急変前の兆候を見逃してはいけないと誰もが知っている。しかし、そのさらに前段階である、いつもとは何か違う、何かおかしいを感じる、いわば第6感ともいうべき感覚を研ぎ澄ませていくこと、また、その感じたことをチームで共有し、患者管理に反映させていくことが、いかに重要であるかを思い知らされる。
では、「何かおかしい」を感じるためには、何が必要か。
まずは、その患者にとっての正常な様子、行動、所見(必ずしも一般的な正常とは限らない)を理解することである。日常の患者管理に際し、最大限の洞察力をもって接しているかが問われる。そして、「何かおかしい」を、「迅速評価」する手法として、患者の急変につながる危険な兆候(キラーシンプトム)を見極めることが有効とされている。キラーシンプトンとは、呼吸不全や循環不全・ショック、中枢神経障害、代謝異常といった、急変につながる兆候である。このような迅速に患者の状態を把握することを習慣づけることが、今後重症化する兆候を逃さないための一助となる。また、こうした、「何かおかしい」を察知する能力は、ともすれば、経験による差がものをいう能力ととらえられがちである。確かに経験による観察力の違いが影響してくる場面はあるだろう。しかし一方で、様々な先入観がない若手だからこそ気付くという事例も多々あり、経験のあるなしに関わらず、意識して常に磨き続ける必要がある感覚である。そうした、経験による差を最小限にし、皆が鋭敏な感性をもったチームを作り上げるためには、上記のような、迅速に患者状態を把握する習慣づけることがカギとなる。
次に、こうした「何かおかしい」を察知した際に、上級看護師、医師に報告し、適切なな対応がとられるためには、正確な状況説明が不可欠である。そのためには、報告手法が、簡潔かつ体系化したものであることが重要である。具体的には、SBAR(エスバー)を用いた報告手法が推奨されてきている。SBAR は、Situation(状況)、Background(背景)、Assessment(判断)、Recommendation(提案)を意識した医療安全のためのコミュニケーションスキルである。
また、感性がものをいう「何かおかしい」「危険な兆候」を、より客観的に評価し、重症化の危険性をはらむ状態として捉える指標が定められてきている。その一つとして、敗血症を疑うqSOFA(quick SOFA)スコアが挙げられる。qSOFA は、ICU以外の場所で敗血症をスクリーニングするためのツールとして提唱されており、現場の「何かおかしい」を①呼吸数≥ 22/分、②意識の変化、③収縮期血圧≤100 mmHgと、簡便に判定できる客観的項目に置き換えたものである。今後、敗血症という重篤な病態に移行していく可能性をいち早く察知し、より厳重な観察へと引き上げていくための効果的な指標である。
「何かおかしい」を確実に捉え、チームで共有し、最適な対処をとる。
この一連の流れに何が必要か、皆様と討論出来る機会を頂いたことを感謝する。
では、「何かおかしい」を感じるためには、何が必要か。
まずは、その患者にとっての正常な様子、行動、所見(必ずしも一般的な正常とは限らない)を理解することである。日常の患者管理に際し、最大限の洞察力をもって接しているかが問われる。そして、「何かおかしい」を、「迅速評価」する手法として、患者の急変につながる危険な兆候(キラーシンプトム)を見極めることが有効とされている。キラーシンプトンとは、呼吸不全や循環不全・ショック、中枢神経障害、代謝異常といった、急変につながる兆候である。このような迅速に患者の状態を把握することを習慣づけることが、今後重症化する兆候を逃さないための一助となる。また、こうした、「何かおかしい」を察知する能力は、ともすれば、経験による差がものをいう能力ととらえられがちである。確かに経験による観察力の違いが影響してくる場面はあるだろう。しかし一方で、様々な先入観がない若手だからこそ気付くという事例も多々あり、経験のあるなしに関わらず、意識して常に磨き続ける必要がある感覚である。そうした、経験による差を最小限にし、皆が鋭敏な感性をもったチームを作り上げるためには、上記のような、迅速に患者状態を把握する習慣づけることがカギとなる。
次に、こうした「何かおかしい」を察知した際に、上級看護師、医師に報告し、適切なな対応がとられるためには、正確な状況説明が不可欠である。そのためには、報告手法が、簡潔かつ体系化したものであることが重要である。具体的には、SBAR(エスバー)を用いた報告手法が推奨されてきている。SBAR は、Situation(状況)、Background(背景)、Assessment(判断)、Recommendation(提案)を意識した医療安全のためのコミュニケーションスキルである。
また、感性がものをいう「何かおかしい」「危険な兆候」を、より客観的に評価し、重症化の危険性をはらむ状態として捉える指標が定められてきている。その一つとして、敗血症を疑うqSOFA(quick SOFA)スコアが挙げられる。qSOFA は、ICU以外の場所で敗血症をスクリーニングするためのツールとして提唱されており、現場の「何かおかしい」を①呼吸数≥ 22/分、②意識の変化、③収縮期血圧≤100 mmHgと、簡便に判定できる客観的項目に置き換えたものである。今後、敗血症という重篤な病態に移行していく可能性をいち早く察知し、より厳重な観察へと引き上げていくための効果的な指標である。
「何かおかしい」を確実に捉え、チームで共有し、最適な対処をとる。
この一連の流れに何が必要か、皆様と討論出来る機会を頂いたことを感謝する。