The 15th Annual Meeting of Japan Academy of Critical Care Nursing

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Oral presentation

[PD6] 重症患者の生活支援“つなぎ目なくケアをつなぐ”チャレンジ

Sun. Jun 16, 2019 1:10 PM - 2:20 PM 第4会場 (1F 中会議室)

座長:佐藤 冨美子(東北大学大学院医学系研究科)、比田井 理恵(千葉県救急医療センター)

1:40 PM - 1:55 PM

[PD6-3] PD6-3

○辻本 雄大1 (1. 奈良県立医科大学附属病院)

Keywords:急変対応、チーム医療、特定行為

 クリティカルケア領域では、緊急度や重症度が高く、急変が生じやすいことは言うまでもない。そして、急変を生じた場合、生命予後だけでなく、機能予後にも多大なる影響を与える。そのような中、RRS(Rapid Response System)が注目され、致死性の急変に至るのを未然に予防するシステムが徐々に普及し始めている。心停止した患者の70%は、心停止前の8時間以内に呼吸器症状の増悪所見を呈しており、さらに 患者の66%が心停止前の6時間以内に異常症状や徴候の所見を呈しているが、医師は25%しか認識していないと言われている。このような背景の中、24時間、患者に対応する時間が長い看護師の臨床判断能力が向上し、チームで協力し、対応に当たることが望まれる。しかし、残念ながら当院では、RRSのような急変前対応システムは、依然確立されておらず、十分であるとは言い難く、今後の課題である。
 当院ICUは、循環器内科、心臓血管外科は主科が担当、麻酔科は集中治療医が担当する、セミクローズドICUである。科によって指示系統が違い、情報交換がうまくいかない場面も見受けられた。そのような中、数年前から、チーム医療に意識が高い、麻酔科から多職種カンファレンスを導入しはじめ、徐々に他科にも浸透しつつある。カンファレンスの中では、看護師同士の意見はさることながら、医師はじめ多職種の考えや価値観をお互いに出し合い、現在そして未来における患者にとってbetterなゴールを日々検討している。この中には、本シンポジウムの主題でもある、重症患者の生活支援“に繋がるよう、生活者としての支援を意識するように心がけている。クリティカルケア領域では、病状の回復に主眼が置かれがちであるが、苦痛緩和やQOLの向上を目指すことが重要である。多職種連携のコンピテンシー1)には、「他職種を理解する」「職種役割を全うする」「自職種を省みる」「関係性に働きかける」がある。様々な職種の意見に日々関わることは、少なからず、チーム医療の体制づくりに寄与し、自身が感じた「何かおかしい」という違和感を言語化することにつながっているのではないかと思う。
 当院の特徴として、特定行為の指定研修機関として、2019年現在、急性期コース修了生が、集中治療部5名、救命センター2名(1名休職)が配属されている。特定行為研修は、2025年問題に対応するために、医療・保健・福祉(在宅)をつなぎ、タイムリーな医療の提供を行うために厚労省による保健師助産師看護師法の一部を改正した、「チーム医療の推進」の具体策の一つに位置づけられている。特定行為は診療の補助であり、手順書に順じて医師の指示を待たずに特定行為を実施することができる。特定行為は、医師の思考プロセスを理解し、フィジカルアセスメントや身体診察を駆使した観察を行うことで、病態や緊急度の判断ができ看護師の臨床判断能力を生かした“急変させない看護”の実践の一方略として活用できるのではないかと考えている。
 以上、ICUにおいて、急変の予兆に気づき対応するために、CCNSとして、どのような教育体制や連携体制を調整しているのか、現状と課題について述べたい。

1)多職種連携コンピテンシー開発チーム:医療保健福祉分野の多職種連携コンピテンシー.2015.