第16回日本クリティカルケア看護学会学術集会

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一般演題(口演)

[O2] 呼吸・循環

[O2-6] 「人工呼吸器離脱に関わる看護実践力」尺度開発

○福田 美和子1、岡部 春香2、本田 多美枝3、明神 哲也1、坂本 なほ子4 (1. 東京慈恵会医科大学医学部看護学科、2. 東海大学医学部看護学科、3. 日本赤十字九州国際看護大学、4. 東邦大学看護学部)

Keywords:人工呼吸器離脱、看護実践力、尺度開発

【目的】人工呼吸からの早期離脱に向け、クリティカルケア領域に勤務する看護師は様々な関わりをしているが、その実践の構造は明らかではない。そこで人工呼吸器離脱に関わる看護実践力を測定する尺度の開発を試みた。
【方法】1.尺度原案作成及びプレテスト1)先行研究及び3学会合同人工呼吸器離脱プロトコルをもとにアイテムプール作成。研究者間で検討を重ね、6構成概念96項目の尺度原案ver1を作成。2)関連領域の専門・認定看護師に内容妥当性の検討を依頼、結果6構成概念65項目の尺度原案ver2を作成。3)表現の適切性、回答時間検討目的のプレテスト実施。2.パイロットスタディ1)対象施設;関東圏2次以上の救命救急病棟及びICUを有する10病院2)対象者;クリティカルケア領域に勤務する常勤看護師で当該領域経験が2年目以上のもの。管理者を除く。3)調査期間2017年12月~2018年3月末。4)配布と回収;web調査。5)調査項目;個人属性、尺度原案ver2(回答形式は「全くできない」から「とてもよくできる」の5件法)、併存妥当性検討のため中山1)らが開発した『看護実践能力自己評価尺度』の「看護ケアの展開能力」37項目。3.本調査1)対象施設;日本救急学会・日本集中治療医学会に登録の383施設の関連部署。2)対象者;パイロットスタディと同様。3)調査期間2018年12月~2019年9月末4)配布と回収;web調査。調査票にアクセス可能なURL付きポスターを対象施設に郵送し回答を求めた。5)調査項目;個人属性、パイロットスタディの分析結果で得た3因子22項目からなる『人工呼吸器離脱に関わる看護実践力』。6)分析方法;因子分析を行った。分析は統計ソフトSPSSver26を用いた。
【倫理的配慮】パイロットスタディ及び本調査は、web上の調査票冒頭で本研究への同意確認の項にチェックがある回答のみ分析に用いた。本研究は倫理審査委員会の審査を受け実施した(パイロットスタディ承認番号29-172(8788)・本調査承認番号30-198(9219))。
【結果】パイロットスタディは112名から回答を得て欠損などの確認後98名を分析対象とした。分析の結果、3因子22項目となった。第1因子は、呼吸負荷をかけ全身状態を評価する内容が高い負荷量を示し<呼吸負荷を見極め安定化を図る介入(9項目)>と命名した。第2因子は、挿管中の患者に安心感を与え回復に導く関わりが高い負荷量を示し<患者に状況理解を促し回復へと導く介入(8項目)>と命名した。第3因子は、自発呼吸の確立と安定化を図る内容が高い負荷量を示し<自発呼吸確立に向けた評価(5項目)>と命名した。本調査では314名の回答を得て、回答の欠損など確認し275名の回答を分析対象とした(有効回答率87.5%)。属性は男性77名女性198名、当該領域平均経験年数7.64年であった。分析した結果、<呼吸負荷を見極め安定化を図る介入>と<自発呼吸確立に向けた評価>はほぼ同様であった。しかし、<患者に状況理解を促し回復へと導く介入>に属していた項目は因子が移動していた。
【考察】本調査で、項目が別の因子に移動していた内容は、チームメンバーとの意見交換により率先して鎮静深度の管理や呼吸サポートの増減を提案するものであった。これらには看護師主導で治療の意思決定が難しい内容も含まれており、回答者に意味が伝わりにくい項目であったことは否めない。今後さらなる調査により尺度の信頼性・妥当性を確保する必要がある。
本研究は、JSPS科研費(課題番号26463324/18K10366)の助成を受け実施した。開示するCOIはない。
文献;1)中山洋子他(2010).看護実践能力の評価と評価方法に関する調査,平成18-21年度科学研究費補助金(基盤研究(A)研究成果報告書).