第16回日本クリティカルケア看護学会学術集会

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一般演題(口演)

[O5] チーム医療・看護管理

[O5-4] オープンICUでの早期リハビリテーションを目指した多職種カンファレンスの効果

○加藤 美樹1、尾崎 悦崇1、三浦 敦子1 (1. 豊橋市民病院 集中治療センター)

Keywords:人工呼吸器管理、早期リハビリテーション、多職種カンファンレス、チーム医療

【目的】早期からのリハビリテーション(以下リハビリ)はICU-AW(ICU-acquired weakness)の予防や人工呼吸器装着期間、ICU在室や在院日数の短縮に関係があるとされている。A病院ICU(6床)では従来各診療科医師が患者管理を行っており、多職種との協働は不十分であった。また、明確なリハビリ介入時期や内容などの基準がなく、スタッフ毎で異なっていた。その為、早期リハビリのためのプロトコルを作成し、多職種カンファレンスで具体的なリハビリ計画を共有するようにした。こうして多職種が協働し介入することが、早期リハビリに与えた効果を検討する。
【方法】2018年度より多職種カンファレンスを行い、個々の症例に応じた早期リハビリへの取り組みを行った。対象は、2018年1月から3月の人工呼吸器装着患者を非介入群、2018年10月から12月の人工呼吸器装着患者を介入群とした。早期リハビリプロトコルは、集中治療責任医師に相談し、看護師と理学療法士が協議を重ね作成した。運用に関して、多職種へ勉強会を開催し周知徹底をした。多職種カンファレンス導入は、各科医師、看護師、理学療法士、臨床工学技士、薬剤師の情報共有しやすい時間を検討し、カンファレンス内容やメンバー決定を行った。多職種カンファレンスを毎朝行い、患者の病態と治療目標を踏まえた上で、患者に合わせたリハビリ内容を決定し、それに応じた人員配置の調整などを行った。評価指標としては、48時間以内のリハビリ介入、離床実施内容、ICU在室日数、人工呼吸器装着日数、ICUでの早期リハビリにおける看護師の役割認識調査(n=16)とした。本研究は対象施設倫理委員会の承認(No.458)を得た上で実施した。
【結果】ICUに入室した人工呼吸器装着患者における介入群のリハビリ介入率は77%であり、非介入群に比べ24%上昇、その中でも入室48時間以内のリハビリ介入率は57%であり、非介入群に比べ26%上昇した。人工呼吸器装着期間の最大リハビリ進行度は、他動運動46%から76%、座位6%から52%、端座位6%から28%、立位0%から12%、歩行0%から4%と全てにおいて上昇した。また平均人工呼吸器装着日数4.3日から3.2日(-0.9日)に短縮し、ICU在室平均日数6.1日から5.7日(-0.4日)に短縮した。早期リハビリにおける看護師の役割理解度は、「安全性の配慮」が69%から88%、「適応の判断・基準を高める援助」が25%から38%、「患者教育と心理的援助」が25%から44%と全体的に上昇したが、「多職種連携の調整」は50%から50%と変化はなかった。
【考察】オープンICUでの早期リハビリプロトコルを活用した多職種カンファレンスは、患者の情報と目標を共有し、互いの専門領域の役割を認識し合う場になった。その結果、患者にとって最適なタイミングでのリハビリ介入が可能になり、離床進行度や人工呼吸器装着日数、ICU在室日数の短縮に効果があったと考える。早期リハビリにおける看護師の役割理解の中で「多職種連携の調整」が上昇に至らなかったのは、多職種カンファレンス開始3ヶ月後の評価であることや調整方法が明確ではなかったことが原因であると考える。しかし、看護師は患者の生活を支援するという立場から、多職種の中で患者にとって最適なリハビリを実現させるための調整役を担う。今後は他職種への関心を喚起し、看護師が各職種間の仲介役的役割を担っていくための学習の機会などを検討していく必要がある。