[O6-5] 集中治療後症候群の発症を見据えた
ICUケアに対する看護師の認識と実践
Keywords:集中治療後症候群、看護実践、ICU、認識
【目的】
ICUにおける患者の集中治療後症候群(post intensive care syndrome:以下PICSとする)の発症を見据えた看護実践の充実を図るために、ICU看護師のPICSの発症を見据えたケアに対する認識と看護実践を明らかにする。
【研究方法】
研究対象は、集中治療管理料の算定を受けている近畿県内の大学病院に勤務する臨床経験5年以上かつICUでの勤務経験3年以上の看護師で、日本看護協会「看護師のクリニカルラダー」レベルⅢ以上に該当し、過去1年以内にICUに4日以上入室し、かつ48時間以上人工呼吸器を装着した患者に看護実践を行った経験がある看護師である。研究方法は、半構成的質問紙を用いた面接調査行い、データを質的帰納的に分析をした。
【倫理的配慮】
本研究は、兵庫医療大学の倫理審査承認・研究協力施設の倫理委員会の承認を得た上で実施した。
【結果】
看護師は7名であり、経験年数は5~17年の平均9.1(SD±4.1)年、ICU経験年数は4~14年の平均7.1(SD±2.9)年であった。面接時間は、36~60分の平均47(SD±8.6)分であった。研究対象者全員が学会や院内の勉強会を通じてPICSに関して学習しており、PICSのリスクのある患者へのケア提供をほぼ毎日実施していた。
ICU看護師のPICSの発症を見据えたICUケアに対する認識は、15サブカテゴリーに分類され、さらに<PICSケアの現状><PICSの発症を見据えたケアへの考え><PICSの発症を見据えたケアへの希薄な関心>といった4つのカテゴリーに分類された。<PICSの発症を見据えたケアへの考え>には、【PICSの発症を見据えたケアは必要不可欠】【PICSの発症を見据えたケアより大切なケア】【PICSの発症を見据えることは不必要】【患者の救命が最優先】といった5つのサブカテゴリーが含まれていた。<PICSの発症を見据えたケアへの希薄な関心>には、【ICU退室患者に向かない意識】【ICU看護師のケアはICUの中で完結という意識】といった3つのサブカテゴリーが含まれていた。
ICU看護師が行っているPICS予防・軽減に対する看護実践は、27のサブカテゴリーに分類され、さらに<身心の苦痛を緩和するケア><入院前の生活に近づけるケア><患者の記憶を整えるケア><患者の全身状態を整えるケア><心身の状態を考えた最大限のリハビリテーション><ICU退室後患者をフォローする体制>などの9のカテゴリーに分類された。<心身の状態を考えた最大限のリハビリテーション>には、【主に早期離床をする】【早期からヘッドアップをする】【日常生活の自立を促しながらリハビリをする】【呼吸・循環が不安定な中でリハビリをする】といった9つのサブカテゴリーが含まれていた。
【考察・結論】
本研究のICU看護師の中には、PICSの発症を見据えたケアに対する否定的な考え、他に優先するケアがあるという考え、ICU退室後の患者への関心が希薄な者もいた。PICSは重症疾患を基盤として発症するという点で、ICUでの治療やケアから切り離せないため、こうしたICU看護師へのPICSに関する認識を変化させる教育が重要となる。PICSの予防・軽減のためのICU看護師の看護実践は、身体的リハビリテーションに偏っていた。PICSは身体機能、認知機能、メンタルヘルスの障害が絡みあうことで、患者の回復や社会復帰を困難にし、QOLを低下させる。このためICU入室中から、心身両面からの包括的な早期リハビリテーションを実施する必要がある。
ICUにおける患者の集中治療後症候群(post intensive care syndrome:以下PICSとする)の発症を見据えた看護実践の充実を図るために、ICU看護師のPICSの発症を見据えたケアに対する認識と看護実践を明らかにする。
【研究方法】
研究対象は、集中治療管理料の算定を受けている近畿県内の大学病院に勤務する臨床経験5年以上かつICUでの勤務経験3年以上の看護師で、日本看護協会「看護師のクリニカルラダー」レベルⅢ以上に該当し、過去1年以内にICUに4日以上入室し、かつ48時間以上人工呼吸器を装着した患者に看護実践を行った経験がある看護師である。研究方法は、半構成的質問紙を用いた面接調査行い、データを質的帰納的に分析をした。
【倫理的配慮】
本研究は、兵庫医療大学の倫理審査承認・研究協力施設の倫理委員会の承認を得た上で実施した。
【結果】
看護師は7名であり、経験年数は5~17年の平均9.1(SD±4.1)年、ICU経験年数は4~14年の平均7.1(SD±2.9)年であった。面接時間は、36~60分の平均47(SD±8.6)分であった。研究対象者全員が学会や院内の勉強会を通じてPICSに関して学習しており、PICSのリスクのある患者へのケア提供をほぼ毎日実施していた。
ICU看護師のPICSの発症を見据えたICUケアに対する認識は、15サブカテゴリーに分類され、さらに<PICSケアの現状><PICSの発症を見据えたケアへの考え><PICSの発症を見据えたケアへの希薄な関心>といった4つのカテゴリーに分類された。<PICSの発症を見据えたケアへの考え>には、【PICSの発症を見据えたケアは必要不可欠】【PICSの発症を見据えたケアより大切なケア】【PICSの発症を見据えることは不必要】【患者の救命が最優先】といった5つのサブカテゴリーが含まれていた。<PICSの発症を見据えたケアへの希薄な関心>には、【ICU退室患者に向かない意識】【ICU看護師のケアはICUの中で完結という意識】といった3つのサブカテゴリーが含まれていた。
ICU看護師が行っているPICS予防・軽減に対する看護実践は、27のサブカテゴリーに分類され、さらに<身心の苦痛を緩和するケア><入院前の生活に近づけるケア><患者の記憶を整えるケア><患者の全身状態を整えるケア><心身の状態を考えた最大限のリハビリテーション><ICU退室後患者をフォローする体制>などの9のカテゴリーに分類された。<心身の状態を考えた最大限のリハビリテーション>には、【主に早期離床をする】【早期からヘッドアップをする】【日常生活の自立を促しながらリハビリをする】【呼吸・循環が不安定な中でリハビリをする】といった9つのサブカテゴリーが含まれていた。
【考察・結論】
本研究のICU看護師の中には、PICSの発症を見据えたケアに対する否定的な考え、他に優先するケアがあるという考え、ICU退室後の患者への関心が希薄な者もいた。PICSは重症疾患を基盤として発症するという点で、ICUでの治療やケアから切り離せないため、こうしたICU看護師へのPICSに関する認識を変化させる教育が重要となる。PICSの予防・軽減のためのICU看護師の看護実践は、身体的リハビリテーションに偏っていた。PICSは身体機能、認知機能、メンタルヘルスの障害が絡みあうことで、患者の回復や社会復帰を困難にし、QOLを低下させる。このためICU入室中から、心身両面からの包括的な早期リハビリテーションを実施する必要がある。