第16回日本クリティカルケア看護学会学術集会

講演情報

一般演題(示説)

[P4] 家族看護、看護倫理、理論・概念

[P4-5] クリティカルケア看護領域におけるcomfortの概念モデルの内容妥当性検証

○大山 祐介1,2、永田 明1、山勢 博彰3 (1. 長崎大学生命医科学域保健学系、2. 山口大学大学院医学系研究科保健学専攻博士後期課程、3. 山口大学大学院医学系研究科保健学専攻)

キーワード:comfort、概念モデル、内容妥当性

【目的】
 我々は国内外のクリティカルケア看護領域のcomfortに関する文献を用いて概念分析を行った.その結果に基づきクリティカルケア看護領域におけるcomfortの概念モデルを作成した.すでに概念モデルの各項目については急性・重症患者看護専門看護師11人を対象に質的研究を行い,表面的妥当性を確認した.本研究では,先の研究で作成したクリティカルケア看護領域におけるcomfortの概念モデルについて内容妥当性の検証を行うことを目的とした.

【方法】
 研究デザインは質問紙調査研究である.2019年9月から10月の期間で,クリティカルケア看護領域に精通する専門家を対象に質問紙調査を行った.調査内容は対象者の属性として,現在の主たる業務および,最終学歴の2項目を問うた.内容妥当性を検証する調査項目は概念分析,質的研究の結果をもとに,「患者のcomfortではない状態について」42項目,「患者のcomfortを阻害する外的環境について」14項目,「患者のcomfortではない状態に対する看護師の観察やケアについて」19項目,「患者に関わるケア提供者の特性や態度について」9項目,「患者のcomfortな状態について」20項目,「患者のcomfortを看護師が知覚するサインについて」17項目,「患者にcomfortが生じたことによってもたらされるものについて」12項目の合計133項目を作成した.項目の評価は4段階のリッカート尺度(1=関連性がない,2=項目の修正なしでは関連性を評価することはできない,3=関連性はあるが,わずかな修正が必要である,4=非常に関連があり合致している)を用いた.また,項目毎に用語や文章の言いまわしなど,表現方法について意見を求めた.データの分析は,Polit et al(2007)が論ずる内容妥当性検証の方法に準じた.まず,個々の項目の内容妥当性指標(item-level content validity index:I-CVI)は0.78以上(3,または4に評価した専門家の割合)を指標とした.次に項目全体の内容妥当性指標(scale content validity index:S-CVI)は,全項目の平均値を算出し,0.9以上を指標とした.

 本研究は,所属大学の倫理審査委員会の承認を得て実施した(管理番号:598).

【結果】
 対象者は合目的的サンプリング法で選出した.クリティカルケア看護領域に精通する専門家8人に調査用紙を郵送し,7人から返送があった.そのうち,6人は教育および研究職で,1人は臨床で看護師として勤務していた.また,全員が博士課程修了者であった.
 I-CVIは0.43~1.00の範囲を示した.133項目のうち120項目は7人中6人以上が妥当であると回答し,0.86以上の値を示した.13項目はI-CVIが低値を示し,推奨水準を満たさなかったため,内容妥当性が低いと判断して削除した.また,内容妥当性を確認できた120項目のうち30項目については,対象者からの意見に基づき表現方法などを修正した.全項目の平均であるS-CVIは0.93であった.

【考察】
 クリティカルケア看護領域におけるcomfortの概念モデルの項目は内容妥当性が確保された.今後は概念モデルの妥当性を高めるために構成概念妥当性を検証し,構造的側面の妥当性についても確認する必要がある.