[P4-6] クリティカルケア看護におけるレジリエンスの活用に向けた課題
Keywords:レジリエンス 、文献検討
【目的】本研究の目的は、看護で用いられているレジリエンスの概念を検討し、クリティカルケア領域での活用に向けた示唆を得ることである。
【方法】文献検索は、医中誌Web、PubMed、CINAHLを使用した。キーワードは、国内文献では、「レジリエンス」and「概念分析」とし、海外文献では、"resilience" and "concept analysis" and "nursing"とした。包含・除外基準による検討から、国内文献4件、海外文献13件の計17件を分析した。
【結果】対象文献の分析方法は、Walker&Avantの概念分析が10件、Rodgersの概念分析が4件、Schwartz-Barcott&Kimのhybrid model とMeleisの概念分析、Narrative synthesisが各1件であった。分析対象は、個人が15件、集団が2件であった。個人としては、「成人」、「子ども」、「思春期」、「85歳以上」、「軍人」、「慢性疾患を持つ子どもの介護者」、「若年性認知症患者の介護者」、「血液透析患者」が各1件、「がん患者」が2件、「不明」が5件であった。集団については、「家族」と「コミュニティ」が各1件であった。
対象文献から抽出された定義は、『能力』と『過程』に分類でき、能力には、[不利な状況から回復する能力]と[状況を好転させる能力]が抽出された。過程には、[回復過程]、[適応過程]、[成長過程]が抽出された。
属性は、『心理特性』、『個人特性』、『対処力』、『調整力』、『決断力』、『自己認識』、『肯定的な見方』、『資源』、『ネットワークを築く』、『パターンがある』、『プロセスがある』ことが認められた。
先行要件は、状況や変化、疾患、持続に関する[ストレッサー]と[逆境]からおこる『不利な状況』があり、『個人要因』としては、[潜在的レジリエンス]と[認識力]が抽出された。『環境要因』には、[人的資源]と[社会資源]が抽出された。
帰結は、『個人機能』、[Positive thinking]と[心理的苦痛の程度]からなる『心の所在』、[Well-being]、[回復]、[肯定的な結果]、[社会生活への適応]、[社会生活の維持]、[成長]、[対処能力]、[適応][個々の機能の向上]からなる『肯定的な変化』、『効果的な対処』が抽出され、レジリエンスが低い場合には『否定的な結果』になることが抽出された。
【考察】レジリエンスは、不利な状況を認識することによってレジリエンスが高められることや、人はレジリエンスを潜在的に保有していることから、クリティカルケア期の患者とその家族にも適用可能であると考えられる。さらに、レジリエンスは、能力または過程として定義されていることから、能力向上に向けた看護介入プログラムの構築や過程を明らかにすることで、その過程に応じた介入支援が可能になると考えられる。しかし、クリティカルケア期にある患者とその家族にたいして、発症前からレジリエンスを向上させる看護介入は困難である。今後は、クリティカルケア期にある患者とその家族のレジリエンスの実態を明らかにし、潜在的レジリエンスを支え、肯定的な変化を促す看護介入モデルの構築を検討していく必要があると考える。
【方法】文献検索は、医中誌Web、PubMed、CINAHLを使用した。キーワードは、国内文献では、「レジリエンス」and「概念分析」とし、海外文献では、"resilience" and "concept analysis" and "nursing"とした。包含・除外基準による検討から、国内文献4件、海外文献13件の計17件を分析した。
【結果】対象文献の分析方法は、Walker&Avantの概念分析が10件、Rodgersの概念分析が4件、Schwartz-Barcott&Kimのhybrid model とMeleisの概念分析、Narrative synthesisが各1件であった。分析対象は、個人が15件、集団が2件であった。個人としては、「成人」、「子ども」、「思春期」、「85歳以上」、「軍人」、「慢性疾患を持つ子どもの介護者」、「若年性認知症患者の介護者」、「血液透析患者」が各1件、「がん患者」が2件、「不明」が5件であった。集団については、「家族」と「コミュニティ」が各1件であった。
対象文献から抽出された定義は、『能力』と『過程』に分類でき、能力には、[不利な状況から回復する能力]と[状況を好転させる能力]が抽出された。過程には、[回復過程]、[適応過程]、[成長過程]が抽出された。
属性は、『心理特性』、『個人特性』、『対処力』、『調整力』、『決断力』、『自己認識』、『肯定的な見方』、『資源』、『ネットワークを築く』、『パターンがある』、『プロセスがある』ことが認められた。
先行要件は、状況や変化、疾患、持続に関する[ストレッサー]と[逆境]からおこる『不利な状況』があり、『個人要因』としては、[潜在的レジリエンス]と[認識力]が抽出された。『環境要因』には、[人的資源]と[社会資源]が抽出された。
帰結は、『個人機能』、[Positive thinking]と[心理的苦痛の程度]からなる『心の所在』、[Well-being]、[回復]、[肯定的な結果]、[社会生活への適応]、[社会生活の維持]、[成長]、[対処能力]、[適応][個々の機能の向上]からなる『肯定的な変化』、『効果的な対処』が抽出され、レジリエンスが低い場合には『否定的な結果』になることが抽出された。
【考察】レジリエンスは、不利な状況を認識することによってレジリエンスが高められることや、人はレジリエンスを潜在的に保有していることから、クリティカルケア期の患者とその家族にも適用可能であると考えられる。さらに、レジリエンスは、能力または過程として定義されていることから、能力向上に向けた看護介入プログラムの構築や過程を明らかにすることで、その過程に応じた介入支援が可能になると考えられる。しかし、クリティカルケア期にある患者とその家族にたいして、発症前からレジリエンスを向上させる看護介入は困難である。今後は、クリティカルケア期にある患者とその家族のレジリエンスの実態を明らかにし、潜在的レジリエンスを支え、肯定的な変化を促す看護介入モデルの構築を検討していく必要があると考える。