第16回日本クリティカルケア看護学会学術集会

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パネルディスカッション

[PD3] 補助循環の最前線

企画:安藤 有子(関西医科大学附属病院)

[PD3-2] IMPELLAの治療戦略とその可能性

○吉田 幸太郎1、南 茂1、松本 猛志1、村辻 雄大1、石川 慶1、楠本 繁崇1、吉田 靖2、高階 雅紀1 (1. 大阪大学医学部附属病院、2. 大阪大学大学院医学系研究科先進臨床工学共同研究講座)

Keywords:補助循環、カテーテル、低侵襲

 早期に循環を改善できるV-A ECMOは、重症心不全や心肺蘇生などの治療に欠かせない補助循環装置である。しかし、左心系のunloadingが不十分であるため、ときに肺うっ血や左心機能の回復遅延が生じて予後に大きく影響する。従来、このような臨床症状を示す場合は、開胸下に遠心ポンプを用いた temporary LVADが有効な補助循環手段であったが、IMPELLAの登場により適応が激減している。2017年10月から本邦で保険償還された補助循環用ポンプカテーテルであるIMPELLAの臨床使用に伴い、補助循環の治療戦略は変遷している。左心室から大動脈へ血液を吐出することで、容易に効果的な左心系のunloadingを実現することが可能で、Bridge to recoveryに有効な優れたデバイスである。
 当院では2017年10月から2020年2月までにIMPELLA 2.5を6例(7本)、5.0を28例(33本)、CPを6例(6本)使用した。疾患は急性心筋梗塞、劇症型心筋炎、拡張型心筋症、植込型補助人工心臓の感染における摘出後のショック症例と多岐にわたる。また、右心不全を伴う場合もしばしば見受けられるが、重症な両心不全に対しても、IMPELLAを使用することで低侵襲な治療を実現可能とした。このようにIMPELLAは重症心不全の新たな治療戦略となりつつあるが、新たなデバイスを安全に臨床使用するためには、安全に取り扱う体制を確立することが必要である。われわれ臨床工学技士はもちろんハートチームの一員である看護師にとっても重要な責務である。
 今回、当院におけるIMPELLA管理方法とトラブルや安全管理に対する取り組みについて報告するとともに、V-A ECMOを併用したECPELLA、当院独自に施行しているIMPELLAと経皮的RVADを併用した経皮的BiVADの施行方法についても併せて提示する。