第16回日本クリティカルケア看護学会学術集会

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シンポジウム

[SY3] ICUサバイバーの声を聴く

企画:寺口 佐與子(大阪医科大学)

[SY3-3] 医療従事者が入院すること

○川崎 俊也1 (1. 大阪府三島救命救急センター)

Keywords:医療従事者

患者もしくはその家族が医療従事者であった際、医学知識を有しており病院のシステムも理解しているためインフォームドコンセント(IC)や処置が円滑に進むこともあれば、やりづらさを感じることもある。臨床現場で働く我々にとっては時折経験することであり、全ての患者・家族に平等に接する姿勢であっても無意識に普段と異なる対応を取ることを私自身感じていた。

私は当時医師5年目で救急医兼循環器内科医として救命救急センターに勤務していた。両親は非医療従事者であり、妻は主に基幹病院の循環器内科病棟に勤務していた経歴のある看護師で当時は専業主婦であった。

28歳で急性腎不全を発症し、近隣の医療機関を経由して自身が働く病院の集中治療室(ICU)に入院し、持続血液濾過(CHF)をはじめとした集中治療管理を受けた。私も妻も医学知識を備えており、病態や治療方針に関しては問題なく受け入れることができたが、理解しているが故の葛藤や不安も大きかった。また、家族内に医療従事者と非医療従事者が混在しており理解度に差が生まれ、私に意識障害が生じた際は多少なりとも混乱があった。

入院した経験から、医療従事者が入院することのメリット、デメリットを考え、自身が診療を行う際に入院の前後でどのように変化したか私見を交えて紹介する。

現在は発病前と同様に勤務しており、当時の担当医、担当看護師が引き続き同僚となっている。勤務していた医師、看護師にアンケートを取り、非医療従事者患者との違いや同僚が入院したことに対しての思いなどを確認し、患者であった私自身との相違点も紹介する。