第17回日本クリティカルケア看護学会学術集会

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一般演題

[O1] 呼吸・循環管理

[O1-03] ストリームガード®による口腔粘膜の出血・潰瘍を予防するための効果的な取り組み

○宮本 佳穂里1、玉置 蓉子1、藤井 ゆか1、田原 翔子1、川尻 秀美1、越宗 厚子1、橋本 あゆみ1 (1. 大阪警察病院 看護部)

Keywords:バイトブロック、口腔粘膜の出血・潰瘍

【目的】ICUでは気管チューブ管理の問題点として、固定による口腔粘膜の出血・潰瘍が挙げられる。当院でも、ストリームガード®のスリットに沿った潰瘍が口腔粘膜に発生し、壊死を伴った一例があった。その原因として、スリットが粘膜に接触し潰瘍が発生したと考え、ストリームガード®の固定方法を見直し、口腔粘膜の出血・潰瘍の予防方法を検討した。その結果、ストリームガード®による口腔粘膜の出血・潰瘍は、患者側の要因がトラブル発生の一因になることが示唆されたため、報告する。
【方法】当院では気管チューブのインフレーションライン破損予防のため、ストリームガード®を使用していたが、発生機序が明らかとなっていない口腔粘膜の出血・潰瘍が発生していた。固定方法の詳細なメーカー情報はなく、ストリームガード®の形状からスリットの位置と向きが要因の一つと考え、研究者自身が固定方法を考案した。具体的には、スリットは凹凸を形成するため、スリットを口腔の内側に向けることで、口腔粘膜への接触面積を広くし圧迫を回避させた。また、気管チューブの固定位置より1cm外側にスライドすることで、セーフティーフックが口唇に接触しないようにした。その後、気管チューブとストリームガード®を使用し、研究者自身が病棟スタッフにデモンストレーションした。そして、ストリームガード®使用患者70名を対象に固定方法と口腔ケアアセスメントガイド(以下OAGとする)を使用し、口腔内の評価をした。
 対象者のプライバシーや匿名性の保護に十分配慮する。収集したデータや関連資料は、研究目的以外では使用せず厳重に管理する。本研究は、所属施設の倫理審査委員会の承認を得た。
【結果】デモンストレーションしたことで、考案したスリットの位置と向きによる固定方法の習得ができた。しかし、OAGで観察した結果、70名中口腔粘膜の出血・潰瘍が11件発生した。その内訳として、口唇の浮腫によりストリームガード®と口唇が接触し潰瘍を形成したものが2件、ストリームガード®が口角に接触し潰瘍を形成したものが1件。上歯が全て又は部分欠損しており、歯肉や上顎にストリームガード®が接触し、潰瘍を形成したものが5件。歯の動揺が強く、またストリームガード®を咬合し、歯の部分欠損部にはまり込み潰瘍を形成したものが2件。硬口蓋にストリームガード®が接触し、潰瘍を形成したものが1件であった。
【考察】ストリームガード®の固定方法を指導したことで、病棟スタッフは位置調整に注意を払うことができた。歯牙欠損や動揺歯、強い咬合がある場合に口腔粘膜の出血・潰瘍が発生していたため、OAGの評価に加え、患者側の要因にも着目した観察が重要であり、個別性に適した固定方法を検討していく必要がある。
【結論】今回の研究を通して、ストリームガード®による口腔粘膜の出血・潰瘍は、患者側の要因がトラブル発生の一因になることが示唆された。今後は、ストリームガード®の固定方法の院内統一化を目指し、マニュアル作成の指標としていきたい。そして、ICUにおける気管チューブの管理の最適化の一助となれば幸いである。
O1-03