[O10-03] 経口挿管が口腔機能に与える影響
Keywords:経口挿管、口腔機能
【目的】経口挿管抜管後の患者の嚥下障害は誤嚥で評価されており、咀嚼や食塊形成に関わる口腔や頬の評価はされていない。そこで本研究では、口唇、舌、頬の機能を口腔機能と定義し、経口挿管が口腔機能に与える影響を明らかにすることを目的とした。
【方法】対象は全身麻酔の手術を受けた患者とした。基本情報は、年齢、性別、挿管時間について、口腔機能はオーラルディアドコキネシス(以下、OD)の/pa/、/ta/、/ka/、/ra/の1秒間の発声回数、舌の左右・前後運動の1秒間あたりの回数、頬の運動は膨らまし、すぼめる、それらの左右交互の可否について、挿管前、抜管1時間後、抜管3時間後の3地点で評価し、統計学的に分析した。本研究は所属大学倫理委員会の承認を得て実施した。
【結果】対象者は18名(男性10名)、平均年齢は72.1±9.0歳であった。平均挿管時間は371.1±302.3分であった。口腔機能の結果を表1に示した。ODの/pa/、/ta/、/ka/、舌の前後運動で有意差が認められ、挿管前と比較し抜管1時間後に有意に低下していた。/pa/は抜管3時間後に有意に改善したが、挿管前よりは有意に低かった。/ta/は抜管3時間後も挿管前より有意に低いままであった。/ka/、舌の前後運動は抜管3時間後で有意な改善は認められなかったが、挿管前とは有意差はなかった。
【考察】/pa/は口輪筋による口唇の動きであり、挿管チューブの挿入により口唇を閉じる運動が制限されたことが影響したと考えられる。ODの/ta/、/ka/は舌骨上筋群、舌骨下筋群が関与し、これらの筋群は舌の前後運動にも関与している。挿管チューブにより口腔内の舌運動のスペースが制限されたことが機能低下に影響したと推測される。本研究においては頬運動の有意差は認められなかった。口唇の運動と比較し、頬運動には頬筋、広頚筋などの大きな筋が関与することが影響したと考えられる。口唇、舌、頬運動に関わる筋は咀嚼や嚥下にも複合的に関与しており、結果的に誤嚥を引き起こす可能性がある。そのため、挿管中から口唇・舌の筋に刺激を与えるような口腔ケアや患者状態に合わせた口唇・舌のリハビリ実施の必要性が示唆された。
【結論】経口挿管抜管後の口腔機能は低下しており、挿管前の口腔機能維持のためのケアの必要性が示唆された。
【方法】対象は全身麻酔の手術を受けた患者とした。基本情報は、年齢、性別、挿管時間について、口腔機能はオーラルディアドコキネシス(以下、OD)の/pa/、/ta/、/ka/、/ra/の1秒間の発声回数、舌の左右・前後運動の1秒間あたりの回数、頬の運動は膨らまし、すぼめる、それらの左右交互の可否について、挿管前、抜管1時間後、抜管3時間後の3地点で評価し、統計学的に分析した。本研究は所属大学倫理委員会の承認を得て実施した。
【結果】対象者は18名(男性10名)、平均年齢は72.1±9.0歳であった。平均挿管時間は371.1±302.3分であった。口腔機能の結果を表1に示した。ODの/pa/、/ta/、/ka/、舌の前後運動で有意差が認められ、挿管前と比較し抜管1時間後に有意に低下していた。/pa/は抜管3時間後に有意に改善したが、挿管前よりは有意に低かった。/ta/は抜管3時間後も挿管前より有意に低いままであった。/ka/、舌の前後運動は抜管3時間後で有意な改善は認められなかったが、挿管前とは有意差はなかった。
【考察】/pa/は口輪筋による口唇の動きであり、挿管チューブの挿入により口唇を閉じる運動が制限されたことが影響したと考えられる。ODの/ta/、/ka/は舌骨上筋群、舌骨下筋群が関与し、これらの筋群は舌の前後運動にも関与している。挿管チューブにより口腔内の舌運動のスペースが制限されたことが機能低下に影響したと推測される。本研究においては頬運動の有意差は認められなかった。口唇の運動と比較し、頬運動には頬筋、広頚筋などの大きな筋が関与することが影響したと考えられる。口唇、舌、頬運動に関わる筋は咀嚼や嚥下にも複合的に関与しており、結果的に誤嚥を引き起こす可能性がある。そのため、挿管中から口唇・舌の筋に刺激を与えるような口腔ケアや患者状態に合わせた口唇・舌のリハビリ実施の必要性が示唆された。
【結論】経口挿管抜管後の口腔機能は低下しており、挿管前の口腔機能維持のためのケアの必要性が示唆された。