[O10-05] 挿管中の経口摂取へのアプローチ -食べるを守る-
Keywords:嚥下訓練、食べる
【目的】近年、ICU-AW(ICU-acquired weakness)に対する介入に注目を集めている中、今回注目したのは長期挿管患者に引き起こされる嚥下障害である。口から物を食べられないことは、ADL低下だけでなくQOLも下がることに繋がる。挿管中に引き起こされる嚥下力低下を機能的口腔ケア導入により予防できたかを検討する。
【方法】対象:挿管後48時間以上(長期挿管患者)のICU入室全患者。小児および定期手術患者は除外。機能的口腔ケア:長期挿管患者に対して機能的口腔ケアフローチャートを使用し肩甲骨温罨法、開口訓練、挺舌訓練を3回/日実施。評価タイミング:抜管後2時間以上経過した時点。分析方法:抜管後のRSST(反復唾液嚥下テスト)とMWST(改訂水飲みテスト)の、介入前後比較を実施。本研究は所属病院倫理委員会の承諾を得たうえで実施した。
【結果】1)挿管中からの機能的口腔ケアに関して、48時間以上の長期挿管患者で介入前後比較を実施。RSST点数改善は認めず(P=0.16)、MWSTは点数の改善を認めた(P=0.01)2)研究介入前後での嚥下評価までの時間短縮はあったが、有意差は認められなかった(P=0.11)3)長期挿管患者での摂食嚥下障害の発生率は介入前43%であり、介入後は22%であり有意差を認めなかった(P=0.59)
【考察】1)RSSTでは認知機能低下の影響で指示に従えなかった患者を陽性と判断した可能性がある。一方、MWSTは意志の疎通が取れなくとも、自動的に嚥下運動を促すことができたと考える。なぜなら、舌骨上筋群の機能が保持できていなければ嚥下は行えないため、機能的口腔ケアは嚥下機能保持に有効であった可能性が示唆される。2)研究介入にあたり嚥下評価を言語聴覚士だけでなく看護師が介入したことによる、嚥下評価までに有した時間の短縮は認めなかった。嚥下評価のタイミングが適切であれば、患者の嚥下能力が早期に見極められ、二次的合併症を回避できることにつながるのではないかと考える。3)研究介入前後で摂食嚥下障害の発生率は減少傾向であったが有意差は認めなかった。要因として、対象者数の偏りや挿管前の摂食嚥下能力の把握が難しかったことが挙げられる。
【結論】長期挿管患者に引き起こされる嚥下障害に対して、機能的口腔ケアを実施することは、摂食嚥下プロセスモデルの準備・口腔期への働きかけが有用であった。機能的口腔ケアの効果により嚥下機能を保持できたことは、嚥下力低下の予防だけでなく、QOL維持向上につながる可能性があると考える。
【方法】対象:挿管後48時間以上(長期挿管患者)のICU入室全患者。小児および定期手術患者は除外。機能的口腔ケア:長期挿管患者に対して機能的口腔ケアフローチャートを使用し肩甲骨温罨法、開口訓練、挺舌訓練を3回/日実施。評価タイミング:抜管後2時間以上経過した時点。分析方法:抜管後のRSST(反復唾液嚥下テスト)とMWST(改訂水飲みテスト)の、介入前後比較を実施。本研究は所属病院倫理委員会の承諾を得たうえで実施した。
【結果】1)挿管中からの機能的口腔ケアに関して、48時間以上の長期挿管患者で介入前後比較を実施。RSST点数改善は認めず(P=0.16)、MWSTは点数の改善を認めた(P=0.01)2)研究介入前後での嚥下評価までの時間短縮はあったが、有意差は認められなかった(P=0.11)3)長期挿管患者での摂食嚥下障害の発生率は介入前43%であり、介入後は22%であり有意差を認めなかった(P=0.59)
【考察】1)RSSTでは認知機能低下の影響で指示に従えなかった患者を陽性と判断した可能性がある。一方、MWSTは意志の疎通が取れなくとも、自動的に嚥下運動を促すことができたと考える。なぜなら、舌骨上筋群の機能が保持できていなければ嚥下は行えないため、機能的口腔ケアは嚥下機能保持に有効であった可能性が示唆される。2)研究介入にあたり嚥下評価を言語聴覚士だけでなく看護師が介入したことによる、嚥下評価までに有した時間の短縮は認めなかった。嚥下評価のタイミングが適切であれば、患者の嚥下能力が早期に見極められ、二次的合併症を回避できることにつながるのではないかと考える。3)研究介入前後で摂食嚥下障害の発生率は減少傾向であったが有意差は認めなかった。要因として、対象者数の偏りや挿管前の摂食嚥下能力の把握が難しかったことが挙げられる。
【結論】長期挿管患者に引き起こされる嚥下障害に対して、機能的口腔ケアを実施することは、摂食嚥下プロセスモデルの準備・口腔期への働きかけが有用であった。機能的口腔ケアの効果により嚥下機能を保持できたことは、嚥下力低下の予防だけでなく、QOL維持向上につながる可能性があると考える。