[O12-02] 集中治療室に勤務する看護師のモニター心電図学習への苦手意識を低減させる教育方法の検討
Keywords:モニター心電図、苦手意識、教育方法、集中治療室
【目的】集中治療領域に配属された看護師は、モニター心電図の学習に苦手意識をもつ者が多い。先行研究ではスモールステップで到達点を明確にした教育が学習性無力感を避け、自己学習促進のサポートになると報告されている。Rui Zengらは、graphics-sequence memory method(正常心電図と異常心電図の形態の概略図を示し、心電図の生成順序に従って波形を解釈する方法)により、短時間で精度の高い心電図判読ができるようになったと報告している。今回、集中治療室に勤務しモニター心電図に苦手意識をもつ者を対象に、スモールステップの目標設定で、graphics-sequence memory methodを参考に教育することで、苦手意識を低減し判読精度を向上できるか検証した。〔言葉の定義〕苦手意識とは、得意でない、いやだ、見たくない、勉強したくないなど、心電図の学習を妨げる感情と定義する。
【方法および分析の概要】1.研究対象:当院集中治療部に勤務し、モニター心電図学習に苦手意識を自覚し、研究に同意が得られた看護師12名。2.研究期間:2020年12月〜2021年1月。3.調査方法:教育前後に、先行研究を参考に作成したモニター心電図学習への苦手意識に関する15問の4段階のリッカート評価による質問紙調査を行った。また、教育効果については不整脈判読精度のテスト(8問16点満点)を実施した。4.教育内容:graphics-sequence memory methodを参考に資料を作成、自由に閲覧学習できるようにした。また、学習内容についての質問に適宜応じた。5.分析方法:教育前後で質問紙調査および不整脈判読精度テストの点数の記述統計量を算出し比較した。本研究は所属施設の臨床研究等倫理審査委員会より審査不要事項、研究実施許可と判断され実施した。
【結果】質問紙調査の平均点と標準偏差の比較では「心電図学習を後回しにしてもどうにかなると思う」が教育前1.5点(±0.5)・教育後1.42点(±0.49)、「膨大な課題を前にしているような負担感がある」は教育前1.67点(±0.47)、教育後1.83点(±0.55)で変化がなかった。「学習の抵抗感が減った」は教育前2.08点(±0.64)から教育後2.67点(±0.47)に増加し「緊急を要する検査であり早急な判断が必要である」は教育前3.42点(±0.49)・教育後3点(±0.57)「判読を間違ったら大変なことになる」は教育前3.67点(±0.47)・教育後3.08点(±0.64)に減少した。不整脈判読精度のテスト結果は、教育前平均7.66点(±4.05)、教育後11.33点(±3.42)であった。教育前後とも、名称は正答したが判断根拠が不十分のものが半数近くあった。
【考察】対象者は苦手意識をもちながら、心電図学習は後回しでよいとは考えていなかったことから心電図学習の必要性を感じていたと考える。学習のニーズはあり、今回の取り組みが学習開始の動機づけになったと考える。また、学習後も必要性を高く感じながら、学習への抵抗感が減ったと自覚しており、スモールステップが苦手意識を低減したと考える。しかし、教育後テストの得点増加、特に判断根拠の正解率増加が乏しく、教育効果の低さが示唆された。今回の教育方法は、感染対策から資料を参照する自己学習になった。Nattawatはpeer-assistant-learningが個人学習よりも理解を促進すると述べている。今後は、少人数グループなど直接的な関わりをもつ方法で、上級者からの支援を強化し、心臓での現象と心電図波形を結びつけてイメージできるよう理解促進につなげていきたい。
【結論】心電図学習ニーズはあるが、資料閲覧による個人学習では苦手意識の改善のみで、判読精度の向上にはつながらなかった。
【方法および分析の概要】1.研究対象:当院集中治療部に勤務し、モニター心電図学習に苦手意識を自覚し、研究に同意が得られた看護師12名。2.研究期間:2020年12月〜2021年1月。3.調査方法:教育前後に、先行研究を参考に作成したモニター心電図学習への苦手意識に関する15問の4段階のリッカート評価による質問紙調査を行った。また、教育効果については不整脈判読精度のテスト(8問16点満点)を実施した。4.教育内容:graphics-sequence memory methodを参考に資料を作成、自由に閲覧学習できるようにした。また、学習内容についての質問に適宜応じた。5.分析方法:教育前後で質問紙調査および不整脈判読精度テストの点数の記述統計量を算出し比較した。本研究は所属施設の臨床研究等倫理審査委員会より審査不要事項、研究実施許可と判断され実施した。
【結果】質問紙調査の平均点と標準偏差の比較では「心電図学習を後回しにしてもどうにかなると思う」が教育前1.5点(±0.5)・教育後1.42点(±0.49)、「膨大な課題を前にしているような負担感がある」は教育前1.67点(±0.47)、教育後1.83点(±0.55)で変化がなかった。「学習の抵抗感が減った」は教育前2.08点(±0.64)から教育後2.67点(±0.47)に増加し「緊急を要する検査であり早急な判断が必要である」は教育前3.42点(±0.49)・教育後3点(±0.57)「判読を間違ったら大変なことになる」は教育前3.67点(±0.47)・教育後3.08点(±0.64)に減少した。不整脈判読精度のテスト結果は、教育前平均7.66点(±4.05)、教育後11.33点(±3.42)であった。教育前後とも、名称は正答したが判断根拠が不十分のものが半数近くあった。
【考察】対象者は苦手意識をもちながら、心電図学習は後回しでよいとは考えていなかったことから心電図学習の必要性を感じていたと考える。学習のニーズはあり、今回の取り組みが学習開始の動機づけになったと考える。また、学習後も必要性を高く感じながら、学習への抵抗感が減ったと自覚しており、スモールステップが苦手意識を低減したと考える。しかし、教育後テストの得点増加、特に判断根拠の正解率増加が乏しく、教育効果の低さが示唆された。今回の教育方法は、感染対策から資料を参照する自己学習になった。Nattawatはpeer-assistant-learningが個人学習よりも理解を促進すると述べている。今後は、少人数グループなど直接的な関わりをもつ方法で、上級者からの支援を強化し、心臓での現象と心電図波形を結びつけてイメージできるよう理解促進につなげていきたい。
【結論】心電図学習ニーズはあるが、資料閲覧による個人学習では苦手意識の改善のみで、判読精度の向上にはつながらなかった。