第17回日本クリティカルケア看護学会学術集会

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一般演題

[O12] 看護教育

[O12-03] 臨地実習と学内実習を融合した新たな集中治療室実習での学生の学び

○瀧口 千枝1、長谷川 真美1、笠間 秀一1、中矢 一平2、木戸 蓉子2、副島 里香2 (1. 東邦大学 健康科学部看護学科、2. 東邦大学医療センター大森病院 看護部)

Keywords:集中治療室、コロナ禍、看護学実習

【目的】A大学健康科学部看護学科において、実習目的達成を目指してコロナ禍で行った臨地実習と学内実習を融合した新たな集中治療室実習での学生の学びを明らかにすること。
【研究方法および期間】1.新たな実習形態の概要(図)臨地実習を短縮し、臨地と協働した学内実習で補完した。臨地実習で学生は、事例と類似病態の患者看護を見学し、臨地実習指導者と教員は病態やケアの根拠の理解を促した。臨床指導者同席のオンラインカンファレンスを実施した。
2.新たな実習形態での学生の学びの明確化 対象:2020年度A大学健康科学部の3年次実習科目において新たな実習形態で集中治療室実習を実施した学生25名の実習記録【リフレクションシート】のべ150日分 分析:質的帰納的分析
3.倫理的配慮 所属大学の倫理審査委員会の承認を得て実施した。学内掲示板を用いて、自由意思による協力を依頼した。成績確定後の依頼とし、データは学業や個人の評価には関係しないことを説明した。
【結果】1.事例アセスメント(個人ワーク) 多くの学生が、病態、データ解釈や時間経過に伴う変化、複雑に絡む多角的な情報の整理に困難を感じていた。 2.集中治療室でのシャドウイング 医療機器の多さやプライバシーが保たれない環境に驚き倫理的課題を感じていた。生命維持・回復促進のために看護師の観察・予測、多職種連携や看護師同士の連携が重要と捉えていた。気管挿管中のコミュニケーション技術や看護師の姿勢の重要性に言及した。
3.グループでの事例展開 他者の視点により、病態や心理社会的な影響の理解、ケアのアイデアが拡がっていた。
4.事例のシミュレーション演習 実際行うと患者への説明、医療機器装着中や循環動態が不安定な患者の体位変換に難しさを感じ、ディスカッションを通して個別性やケアの根拠を考慮する思考過程を学んでいた。
5.臨地実習指導者同席のオンラインカンファレンス 指導者の助言から臨地の看護の実際を知り、看護は直接的ケアに限らないと理解し、退院後の生活を見据える視点も学んでいた。
【考察】個人ワークで理解が困難でも、臨地と協働したシャドウイングとグループワークにより理解が促進していた。複雑な病態の重症患者を対象とした看護学実習では、グループワークとシミュレーションを主体とし、臨地と学内を融合した新たな実習形態は効果的である可能性がある。
【結論】臨地と大学が協働し、見学実習とシミュレーション実習を連動させることで、具体的な臨床場面に基づいた実践的な問題解決思考を学べていた。
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