[O5-03] 集中治療室において臨死期にある患者とその家族に対する看護師の環境調整
Keywords:集中治療室、臨死期、環境調整
【目的】集中治療室(以下ICUと記す)に入室する患者の中には救命し得ない患者も存在し、ICUで死を迎える事も少なくない。そのためICU看護師にも終末期ケアの実践が求められ、穏やかな死が迎えられるような環境作りが必要とされている。しかし、ICUにおいて臨死期にある患者と家族に対してICU看護師が行う環境調整の内容は明らかにされていない。そのため本研究では、臨死期にある患者と家族にとって望ましい環境を整えるために、ICU看護師が行う環境調整の内容について明らかにする。
【方法】研究デザインは質的記述的研究である。研究参加者は、近畿圏内のICUを有する施設に勤務し臨死期にある患者と家族に対して環境調整を実施した経験のある看護師。集中治療に携わる看護師のクリニカルラダーレベルⅣ以上(日本集中治療医学会,2019)とし、各施設のICUの管理者に研究対象に該当する看護師を紹介頂いた。データ収集期間は2020年6月〜12月。データ収集方法は半構造的面接とした。調査内容はICUにて臨死期にある患者と家族に対する環境調整についてインタビューを行った。分析方法は逐語録の臨死期の環境調整の内容を表す語りからコードを抽出し、意味が類似するものをまとめサブカテゴリー化、カテゴリー化した。
本研究への参加は自由意思で選択できる事を伝えた上で、研究参加によって得られる利益と不利益、研究参加撤回方法、個人情報の取り扱い、研究結果の公表について理解が得られるように十分な説明を行い、口頭と文書による研究参加の同意を得た。また、本研究は大阪府立大学大学院看護学研究科研究倫理委員会の承認を得た上で実施した。
【結果】研究参加者は看護師6名。看護師経験は平均21.5±6.4年、ICU看護師経験は平均9.8±4.8年。環境調整の内容は≪患者と家族の日常の有り様を探る≫≪環境調整へのチームの認識を高める≫ことから始めていた。そして≪心静かに寄り添える空間を作り出す≫≪患者と家族の希望に添った空間を作る≫≪家族への環境刺激を統制する≫ために物理的資源を活用し空間を作り上げていた。さらに≪家族が患者の側で過ごせる時間を作り出す≫ために社会的資源としての面会の規則を緩和し、人的資源である看護師を見極め、≪看護師が家族へ情緒的支援の提供ができるよう配慮する≫調整を行なっていた。そしてICUで死を迎えるために≪死の間際の患者と家族のケアに看護師を配置する≫≪最期の別れを感じ取れるようにする≫の9カテゴリーが抽出された。
【考察】看護師は患者の代弁者である家族から患者の日頃の様子を探り当て、そして、医療チームに対しても臨死期の環境調整に共通の認識を持ち協働できるよう方向性を定めることから環境調整を始めていた。そして、心静かに寄り添える患者と家族の希望に添った空間をICU内の物理的資源や、家族の思い入れの強い物を活用し作り上げていた。これは家族が環境刺激から守られ心静かにお互いの存在を感じ患者との人生を振り返ることができるよう、そして家族が感情表出しやすい環境を作り上げることで悲嘆作業を支えていたと考える。さらに面会の規則を緩和し、患者と家族の時間を作りだす事で、お互いの繋がりが感じ取れ霊的苦痛を和らげる事のできる環境調整をしていたものと考える。最期には、患者との別れを迎える家族を支援する看護師を確保し、最期の別れの瞬間に患者が亡くなった事を感じ取れるようにすることで家族の死別を支えていたと考える。
【結論】ICU看護師の臨死期の環境調整は、患者の苦痛を和らげ家族の悲嘆作業を支えることから、擁護者としてのICU看護師の役割を果たすことが明らかになった。
【方法】研究デザインは質的記述的研究である。研究参加者は、近畿圏内のICUを有する施設に勤務し臨死期にある患者と家族に対して環境調整を実施した経験のある看護師。集中治療に携わる看護師のクリニカルラダーレベルⅣ以上(日本集中治療医学会,2019)とし、各施設のICUの管理者に研究対象に該当する看護師を紹介頂いた。データ収集期間は2020年6月〜12月。データ収集方法は半構造的面接とした。調査内容はICUにて臨死期にある患者と家族に対する環境調整についてインタビューを行った。分析方法は逐語録の臨死期の環境調整の内容を表す語りからコードを抽出し、意味が類似するものをまとめサブカテゴリー化、カテゴリー化した。
本研究への参加は自由意思で選択できる事を伝えた上で、研究参加によって得られる利益と不利益、研究参加撤回方法、個人情報の取り扱い、研究結果の公表について理解が得られるように十分な説明を行い、口頭と文書による研究参加の同意を得た。また、本研究は大阪府立大学大学院看護学研究科研究倫理委員会の承認を得た上で実施した。
【結果】研究参加者は看護師6名。看護師経験は平均21.5±6.4年、ICU看護師経験は平均9.8±4.8年。環境調整の内容は≪患者と家族の日常の有り様を探る≫≪環境調整へのチームの認識を高める≫ことから始めていた。そして≪心静かに寄り添える空間を作り出す≫≪患者と家族の希望に添った空間を作る≫≪家族への環境刺激を統制する≫ために物理的資源を活用し空間を作り上げていた。さらに≪家族が患者の側で過ごせる時間を作り出す≫ために社会的資源としての面会の規則を緩和し、人的資源である看護師を見極め、≪看護師が家族へ情緒的支援の提供ができるよう配慮する≫調整を行なっていた。そしてICUで死を迎えるために≪死の間際の患者と家族のケアに看護師を配置する≫≪最期の別れを感じ取れるようにする≫の9カテゴリーが抽出された。
【考察】看護師は患者の代弁者である家族から患者の日頃の様子を探り当て、そして、医療チームに対しても臨死期の環境調整に共通の認識を持ち協働できるよう方向性を定めることから環境調整を始めていた。そして、心静かに寄り添える患者と家族の希望に添った空間をICU内の物理的資源や、家族の思い入れの強い物を活用し作り上げていた。これは家族が環境刺激から守られ心静かにお互いの存在を感じ患者との人生を振り返ることができるよう、そして家族が感情表出しやすい環境を作り上げることで悲嘆作業を支えていたと考える。さらに面会の規則を緩和し、患者と家族の時間を作りだす事で、お互いの繋がりが感じ取れ霊的苦痛を和らげる事のできる環境調整をしていたものと考える。最期には、患者との別れを迎える家族を支援する看護師を確保し、最期の別れの瞬間に患者が亡くなった事を感じ取れるようにすることで家族の死別を支えていたと考える。
【結論】ICU看護師の臨死期の環境調整は、患者の苦痛を和らげ家族の悲嘆作業を支えることから、擁護者としてのICU看護師の役割を果たすことが明らかになった。